半固体電池で活路 広汽系、587Ah大容量セル発表と6.5GWh量産体制を本格構築

2026/04/10 10:06

新型蓄電産業が「規模拡大」から「質と効率の同時向上」へと転換する重要な局面を迎える中、業界では「大容量・高安全・低コスト」を兼ね備えた蓄電用電池セルへの需要が一段と高まっている。

3月31日、広汽集団傘下の因湃電池科技有限公司は、国家新型储能创新中心(国創センター)と共同で、「大方無隅」シリーズの587Ah大容量蓄電セルを発表するとともに、6.5GWh規模の固液ハイブリッド電池専用量産ラインの建設進捗を公表した。

2026年は蓄電産業にとって技術的な分岐点とされる。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力系統では長時間蓄電の需要が増大する一方、従来の液系リチウムイオン電池は安全性や寿命の面で課題が顕在化している。特に都市中心部やデータセンターなど、安全性に対する要求が極めて高い用途では、熱暴走のリスクが産業発展の大きな制約となっている。

こうした背景から全固体電池への期待が高まっているが、界面抵抗の大きさやコストの高さといった課題により、短期的な大規模実用化は容易ではない。そのため、液系電池の高いイオン伝導性と固体電池の高い安全性を併せ持つ半固体電池が、有力な現実解として注目されている。

因湃電池の許俊海総経理は、「2026年に固体電池の新たな国家標準が施行されることで、半固体電池の量産化に向けた制度面の障壁は大きく低減される」と述べ、現在が技術革新と生産能力高度化の好機にあるとの認識を示した。

今回発表された「大方無隅」シリーズは、「液系+半固体系」の二本立て戦略を採用し、多様な市場ニーズに対応する。液系の「浩瀚版」は、大規模再生可能エネルギー基地や電力系統の調整用途を主な対象とし、長寿命と広い温度対応性能によってライフサイクルコストの低減を図る。

一方、技術の中核となるのが半固体の「乾坤版」である。ナノ酸化物系固体電解質のコーティングと、その場重合によるゲル電解質ネットワークを組み合わせることで、リチウムデンドライトの発生や熱暴走のリスクを大幅に低減する。開発責任者によれば、液系電池に近いコスト水準を維持しつつ、全固体電池に迫る安全性を実現したという。

もっとも、先端技術の実用化においては量産能力と品質の均一性確保が最大の課題となる。因湃電池が発表した6.5GWhの専用生産ラインは、この課題への対応策であり、AIアルゴリズムやデジタルツイン技術を導入し、広幅塗工や高精度積層などの工程を高度化。製造プロセス全体のデジタル化と高度化により、半固体電池の量産における安定性と信頼性の確保を目指す。

また、製品の実用化には産業エコシステムの構築も不可欠だ。国創センターとの連携により、研究開発から試験、量産までをカバーする安全性評価体制を整備するほか、达索系统、中建六局、阿特斯など関連企業とも協業し、製造高度化からサプライチェーン最適化、実用化までを一体で推進する体制を構築している。

国家レベルの研究基盤が基盤技術や標準策定を担い、主要メーカーが量産化を推進し、産業チェーン全体で最適化を図る――こうした連携モデルは、中国の先端製造業が競争力を高めるうえでの典型的な発展パターンといえる。半固体電池技術の成熟とコスト低減が進めば、蓄電市場の競争構造や技術トレンドは新たな局面を迎える可能性が高い。

(中国経済新聞)