中国のディスプレーパネル大手、京東方(BOE Technology Group Co., Ltd.)は3月31日、2025年通期決算を発表し、売上高が2045億9000万元(約4兆2000億円)となり、前年比3.13%増加した。売上高が2000億元台を回復するのは3年ぶり。親会社株主に帰属する純利益は58億5700万元(約1200億円)で、同10.03%増加した。
営業活動によるキャッシュフローは488億2500万元(約1兆円)と、前年から2.28%増加した。世界のディスプレー業界全体の売上規模が微減する中、同社はパネル事業の規模を維持しつつ、付加価値重視への転換を進めている。

京東方は2021年に初めて売上高2000億元(2193億元)を突破したが、その後は市況悪化により2022年に1784億元、2023年に1745億元まで低下。2024年は1983億元と回復し、2025年に再び2000億元台へと乗せたが、過去最高には届かなかった。
事業別では、主力のディスプレー事業の売上高は1664億元(約3兆4000億円)で前年比0.86%増にとどまり、全体に占める比率は81.34%へ低下した。一方、テレビやモニターなどの受託生産を含むIoT関連の新規事業は389億5000万元(約8000億円)と15.14%増加し、構成比は19.04%へ上昇した。
また、センサー、MLED、スマート医療分野もそれぞれ52%、9.8%、3.4%の増収を記録。子会社の車載ディスプレーやLEDチップ、エネルギー関連事業も成長した。
利益面では、ディスプレー事業の粗利益率が12.92%(前年比0.16ポイント上昇)、IoT事業が11.68%(同1.09ポイント上昇)と、いずれも改善した。
地域別では、中国本土の売上高が1027億5400万元(約2兆1000億円)、海外が1018億3600万元(約2兆1000億円)といずれも増加。海外事業の粗利益率(16.56%)は国内(14.72%)を上回った。
同社は2025年、北京の第6世代新型ディスプレー生産ラインやベトナムのスマート端末第2期プロジェクトを稼働させ、成都の第8.6世代OLEDラインでも初製品を点灯。これにより、液晶分野の競争力を維持しつつ、IT用途や車載向けの中型OLEDなど高付加価値市場の開拓を進める方針だ。
現在、中国の京東方、TCL華星、惠科の3社で液晶テレビパネルの世界シェアの約7割を占める。一方、テレビ出荷台数の減少を背景に、2025年の世界パネル市場規模は約1144億ドル(約17兆円)と前年比1.3%減少した。
市場調査会社の分析によると、スマートフォン需要の低迷などにより液晶・OLEDともに売上が縮小し、2026年も1124億ドル(約16兆8000億円)と1.8%減少が見込まれる。メモリー価格上昇による電子機器の値上げも需要を抑制している。
なお、TCL Technology Group Corporation傘下のTCL華星や、Tianma Microelectronics Co., Ltd.(深天馬)も2025年は業績が回復。TCL華星は売上高1052億元(約2兆2000億円)、純利益80億元(約1600億円)と大幅増益、深天馬も黒字転換を果たした。
ディスプレー業界は今後も成長圧力が続く見通しの中、各社は競争淘汰の進展とともに、付加価値重視の戦略転換を加速させている。
(中国経済新聞)
