1月18日、冬季閉山中の富士山で、中国籍の20歳男性が転倒し遭難した。日本警察の山岳遭難救助隊が深夜に6時間以上かけて救助に向かった。この事件は、閉山期間中の無謀な登山がもたらす危険性と、救助隊の献身的な努力を改めて浮き彫りにする。
事件は1月18日午後1時頃、富士山富士宮口の八合目付近で発生した。中国籍の男性(20歳、東京の専門学校に通う留学生、新宿区在住)が下山中に転倒し、右足首を捻挫して歩行不能となった。男性はすぐに119番通報を行い、救助を求めた。
静岡県警察本部は直ちに山岳遭難救助隊を動員した。三班に分かれた計10名の隊員が、山麓から出発した。外気温は極めて低く、強風が吹き荒れる中、漆黒の夜を切り裂きながら、隊員たちは専門装備を携えて約6時間かけて八合目(標高約3000m以上)に到達した。現地到着は同日午後11時頃だった。男性は事故発生から約10時間、ひとりで厳しい寒さに耐えていたが、幸い命に別状はなかった。
しかし、八合目付近は風速が非常に強く、人力による即時下山は二次災害の危険を伴うと判断された。救助隊は慎重に状況を検討した結果、男性とともにその場でテントを張り、夜を明かすことを決定した。隊員たちは男性に防寒具を提供し、応急処置を行いながら、体調の安定を図った。
翌19日朝、風が弱まったタイミングを見計らい、救助隊は男性を担架で搬送した。5合目まで下山した後、車両で病院へ搬送した。現在、男性の容体は安定しており、命に危険はない。
警察によると、男性は18日早朝から単独で登山を開始していた。富士山は毎年9月11日から翌年6月30日まで「閉山期間」と定めており、この期間の登山は厳禁だ。氷雪に覆われた急峻な地形、低温、強風、視界不良など、極めて高い遭難リスクが存在する。
近年、閉山期間中の違反登山が相次いでいる。救助出動も増加している。例えば2025年12月29日には44歳男性が滑落死した。昨年4月には中国籍留学生がわずか4日間で2度遭難し、2度も救助される事態が発生した。これらの事例は、膨大な公的資源の消費だけでなく、救助隊員の命を危険にさらす深刻な問題となっている。
こうした状況に対し、富士宮市長の須藤秀忠氏は記者会見で強い憤りを表明した。「違反登山は完全に自己責任だ。なぜ納税者がそのツケを払わなければならないのか。救助隊員は命がけで任務に当たっている。このような行為を徹底的に根絶しなければならない」と述べ、閉山期間の違反者に対し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金などを科す法整備を強く求めた。
富士山は美しい日本の象徴だ。しかし、同時に厳しい自然の脅威でもある。命を尊重し、ルールを守ることは、登山者自身の安全を守るだけでなく、救助に携わる人々の命をも守ることにつながる。今回の救助活動は、隊員たちのプロフェッショナリズムと人命尊重の精神を示す素晴らしい事例である一方、無謀な行動が引き起こす悲劇を防ぐための警鐘でもある。

(写真:静岡県山岳救助隊が今年1月2日深夜、富士山で遭難した登山者を救助する様子)
(中国経済新聞)
