北京・金融科技の新高地へ——旧「動物園服装卸売市場」跡地が最先端産業拠点に変貌

2025/10/20 17:30

北京市西城区に位置する「国家級金融科技示範区(通称:金科新区)」が、いま新たな成長段階を迎えている。かつて「動批」と呼ばれた「北京動物園服装卸売市場」の跡地は、都市更新を経て、現在では金融とテクノロジーが融合する最前線へと姿を変えた。

■ 200社超が集積、登録資本金1,400億元を突破

記者が現地を訪れたところ、現在、金科新区には200社を超える金融テック関連企業や専門サービス機関が集まり、登録資本金は1,400億元を上回る。

その中には、国家級の「小巨人」企業16社、国家高新技術企業835社、中関村高新技術企業681社が含まれ、金融テクノロジー産業の全産業チェーンが形成されつつある。

■ 「衣料卸売市場」から「金科」へ――都市再生の象徴

金科新区の前身である「動批」は、かつて北京最大の衣料卸売市場として知られた地域だ。2018年5月から始まった再開発を機に、西城区は国内初の金融テクノロジー産業を中心とした国家級示範区へと転換した。

西城区は「両区」建設(自由貿易区・国家サービス業拡大開放総合示範区)や世界先進的な科技園区建設の機会を捉え、政策支援や産業エコシステム整備に注力。

旧商業街区を高品質な産業空間へと再構築し、35万平方メートルのオフィス・研究施設を整備した。中でも「新動力金融科技センター」は、**国家発展改革委員会による“存量資産の活用による有効投資典型事例”**として高く評価されている。

■ イノベーションを支える「ロボット+建築」の新拠点

新区の中核施設である北京金融科技センターでは、午後の陽光の下で小型ロボットがダンスや搬送を披露する姿も。これは、西城区と中関村西城園管理委員会が共同で構築した「建築用スマートロボット性能検証プラットフォーム」による成果だ。

写真は、北京建築大学サイエンスパークのチームが開発したヒューマノイドロボットと四足歩行ロボットである。

同プラットフォームでは、大学・企業間の連携から製品検証、展示販売までを一貫支援。北京建築大学と連携し、建設現場でのロボット応用を実用段階へと押し上げた。設備総投資は500万元を超え、光学動作捕捉システムは単体で100万元超、400㎡のカバー範囲を誇る。

■ 宇宙・物流など多様な企業が拠点化

新区には、宇宙ロケット企業の星際栄耀航天科技集団(Interstellar Glory)も入居。2019年には自社開発の「双曲線一号」ロケットで中国初の民間企業による軌道投入を達成し、世界で2番目の民間ロケット打ち上げ国となった。また、国内最大級のデジタル貨物プラットフォーム福佑卡車も拠点を構える。

AIとビッグデータを駆使した全自動運行・スケジューリング・価格設定システムを展開し、貨物輸送の効率化とコスト削減を実現している。同社によると、西城区からはデータ・人材・資金面で継続的な政策支援を受けており、事業拡大に大きく寄与しているという。

■ 五つの新たな亮点――2025金融科技大会へ

金科新区の7年間の歩みは、西城区における都市更新と産業転換の成功モデルとなった。今年10月28~30日に開催される**「2025金融科技大会」**では、以下の五つの新たな特徴が打ち出される。

協力範囲の拡大:「一行一局一会」など主要金融監督機関を網羅。(注:「中国人民銀行、国家金融監督管理総局、中国証券監督管理委員会(いわゆる“一行一局一会”)」
テクノロジー主導の強化:金融テックの役割が「ツール」から「エコシステム再構築」へ。
国際化・専門化の推進:投資・展示・路演を一体化した国際プラットフォーム構築。
応用シーン競技大会の拡充:参加プロジェクト数が前年比2倍に。
「金融科技発展賞」成果の発表:金融業界唯一の部級科学技術賞として注目。
本大会は、「数智時代の金融テクノロジー」をテーマに、
主・分科会合わせて10セッションを実施し、産学研の連携と国際協力の促進を目指す。

■ 北京が描く「フィンテック都市」の未来像:かつての卸売街が、いまや金融デジタル革命の中枢へ。金科新区は、西城区にとって**「非首都機能の疎解」と「新成長エンジン創出」**を両立させた象徴的プロジェクトとなっている。

テクノロジーと金融が交差するこの新高地から、北京の次なる都市モデルが着実に形を成しつつある。

(中国経済新聞)