中国国務院、黄岩島国家レベル自然保護区の新設を承認

2025/09/12 12:00

9月11日、中国国務院は海南省三沙市に位置する黄岩島(スカボロー礁)国家レベル自然保護区の新設を正式に承認した。この保護区は総面積3523.67ヘクタールで、核心区が1242.55ヘクタール、実験区が2281.12ヘクタールを占める。主要な保護対象は珊瑚礁生態系であり、南シナ海の生物多様性保全と海洋環境保護を目的としている。

黄岩島は南シナ海に位置し、中国が実効支配する重要な海洋エリアだ。豊富な珊瑚礁と多様な海洋生物が生息し、生態学的価値が高い一方、漁業活動や地政学的緊張による環境破壊のリスクにさらされてきた。中国政府は近年、海洋保護を強化する方針を打ち出し、2020年代初頭から南シナ海での保護区指定を進めている。今回の黄岩島国家级自然保護区の設立は、2021年に策定された「海洋強国」戦略と「生態文明」政策の一環であり、国際的な海洋保全の潮流にも対応するものだ。

保護区は核心区と実験区に分けられる。核心区では厳格な保護措置が講じられ、人為的活動が制限される。実験区では科学研究や持続可能な利用が認められ、海洋資源の管理モデルを模索する。国家林業草原局によると、黄岩島の珊瑚礁は熱帯海洋生態系の要であり、気候変動や海洋汚染による劣化を防ぐため、保護強化が急務とされている。

ただし、黄岩島はフィリピンも領有権を主張する紛争地域であり、保護区指定が地政学的な議論を呼ぶ可能性がある。中国は保護区設立が「環境保全目的」と強調するが、周辺国との対話が求められる。

(中国経済新聞)