斉星氏が監督・脚本を務め、マカオ国際映画祭の助演男優賞受賞者であるパン・ビンロンと、華鼎賞で主演女優賞の獲得経験があるズオ・シャオチンが初めての共演で夫婦役を演じ、ホウ・ジアインやシュー・ジャーらが出演する映画「もう退かない」が10日、中国全土で公開された。

パン・ビンロンとズオ・シャオチンは東北地方の普通の夫婦として、愛と知恵を支えに子供を輝かしく成長させてゆく映画だ。肉親のきずなとアイスホッケーを結び付け、肉体のハンディキャップや世間の白い目を乗り越え、あきらめず夢を抱き続けるという感動物語である。
みどころ1:いかにも愉快 パン・ビンロンとズオ・シャオチンが初めて夫婦役となり、中二病家族としてコメディに「ゆるゆるトリオ」を演じる
パン・ビンロン演じる父親の劉中華は、「退かない」精神で10数年かけて娘の不自由な足を治療し、アイスホッケーで大活躍するまで成長させる姿を描く。

パン・ビンロンはこれまでの喜劇役者というイメージを脱し、初めて威厳を捨てて娘の前進を全力で支える父親になり切る。またズオ・シャオチンは今回、気性の激しい東北人の母親に挑戦し、娘をかわいがるあまりにしばしば夫と「言い合い」をする。ともに実力派俳優である2人が演じる両親は、おかしくも温もりを感じさせる。これまでの家族映画にありがちだったはにかみや罪悪感的な教育がなく、家族3人が互いを尊重し支え合い、「ゆるゆるトリオ」といった様相や軽妙なムードに思わずはっとさせられる。
みどころ2:いかにも迫力感 時速160キロというアイスホッケーの場面撮影 最高のスタッフが絶妙なる氷上の美を制作
前例のない氷上スポーツのビジュアル感を表現するため、「映画制作の最高峰」とされる難易度の撮影技術を駆使し、アイスホッケーのスピード感と力を盛り込んだ独特の美を映し出した。ドローン(FPV)とスライド機器を組み合わせたカメラワークで、選手たちの迫力あるプレーを見事に表現している。撮影の際は14メートル/秒という速さでの急停止やリターンをする選手の動きを予測し、時速160キロ以上のパックを正確にフォーカスする必要があった。

また今回は、本物さながらの場面や動きとするため、チチハル市アイスホッケー協会会長で冬季アジア大会金メダリストである孫煥威氏を指導役に招いた。映画では、ドローンで上空からとらえた全体映像や、選手に肉薄した高速での特撮シーンもあり、リンクの内外で全員がセンチメートル単位で息を合わせたことで複雑なシーンを見事に表現した。観客はまるで、リンクの真ん中で選手たちが目の前を過ぎゆくような気分になり、氷の上を駆けまわる姿を堪能する。

みどころ3:いかにも感動的!普通の家族、全員が退かずがっちりと支え合い運命の縛りを乗り越え
家族の視点というこの映画は、アイスホッケーの物語に見えながら実は両親の温もりある支えを描いたもので、がっちりと支え合う感動の家族のストーリーである。「恐妻家」として知られた父親の劉中華は、実は強靭な精神力の持ち主であり、足の不自由な娘のために10年以上も駆けずりまわり、ついに治療に成功する。また、チーム内で娘が挫折し引退を考えた時は、決して責めたりせず粘り強く事情をたずねて、自らも見つめ直す。親子が膝突き合わせて語り合う場面には、思わず涙腺が崩壊してしまう。予告イベントや試写会に参加した人からは、「こんな家族がいる娘がうらやましい」、「うちの親はこんなふうにしてくれなかった。だから子供には何としてもこんな愛をさずけたい」との声が上がった。

映画はまた、普通の家族3人が頑張る姿を描くことで、暮らしの中で必死に戦う平凡なヒーローをリスペクトしている。平凡な家族にスポットを当て、劉中華や劉星楡という普通ながらも苦労を恐れない「強さ」のある人間を描く。逆境に負けない家族を描いた上に、この地にいる誰もがめげずに前につき進むという「退かない」姿を映している。
みどころ4:いかにも東北的 重厚な工業と自然美を融合、全編にわたり東北らしい美しさが
監督は今回の映画で、東北地方のある家族が頑張る姿を通じて、黒土地帯ならではの美を表現した。まず、アイスホッケーはいかにも「東北的」なスポーツである。1954年、チチハルで初のアマチュアチームが誕生し、それから市内のチームは中国選手権やリーグ戦の優勝経験が30回以上、また冬季国民体育大会で4度の優勝を誇る。また現地では男子、女子のアイスホッケーのプロリーグ戦なども開催され、2015年にアジアリーグにおける「ベストシティー」に選ばれた。東北地方ではアイスホッケーは、プロの試合はもちろん、屋外リンクでのレジャーとしても、心にしっかりと刻まれる存在になっている。
(中国経済新聞)