ボルボ・カーズの中国法人であるボルボ中国は、グローバルでの3,000人規模の人員削減計画に続き、中国地区でも従業員の削減を開始した。今回の削減は主に上海の技術研究開発センターを対象とし、エンジニアリング、研究開発、サプライチェーン管理などの職種が含まれる。補償内容は基本的に「N+3ヶ月分の給与」とされている。
この中国での人員削減は、ボルボが今年4月29日に発表した180億スウェーデンクローナ(約135.9億元)のコスト削減計画の一環である。この計画では一部の投資の停止と人員削減の可能性が示唆されていた。その後、5月26日にグローバルで3,000人の従業員、主にホワイトカラー職の削減が正式に発表された。

ボルボの業績は現在、大きな財務的圧力に直面している。2025年第1四半期の売上高は、前年同期の939億スウェーデンクローナから829億スウェーデンクローナへと11.7%減少した。営業利益も47億スウェーデンクローナから約19億スウェーデンクローナへと約60%の大幅な下落を記録した。この業績不振は販売台数の減少に起因しており、同期間のグローバル販売台数は172,219台で、前年比6%減となった。ボルボ経営陣は、販売台数の低迷、電気自動車(EV)市場での競争激化、価格戦争、関税問題などが市場の見通しを不透明にしていると指摘している。
中国市場におけるボルボの状況も厳しさを増している。2024年の中国での販売台数は156,400台で、前年比8%減少し、2025年第1四半期ではさらに12%の大幅な落ち込みを記録した。中国市場での苦戦の背景には、自動車市場での価格競争の激化により、ボルボの価格優位性が失われたことが挙げられる。さらに、製品のアップデートが遅れ、競争力の低下や品質問題による苦情が続き、ボルボの強みである「安全性」のブランドイメージにも影響が出ている。これにより、消費者のブランドに対する好感度も低下している。

ボルボは戦略目標を調整し、2030年までの完全電動化目標を撤回、代わりに2030年までに販売の90%を電動化車両(EVおよびハイブリッド車)とする目標を設定した。2025年5月には、純電気、ガソリン、ハイブリッドの3つのパワートレインに対応するスーパーハイブリッドアーキテクチャ「SMA」を発表した。しかし、ボルボにとって当面の課題は、新エネルギー車(NEV)の販売を伸ばし、ガソリン車への依存度を下げることである。これが実現できなければ、現在の苦境を脱するのは難しい。
(中国経済新聞)