浙江省で列車同士が接触、乗客が窓を割って自力避難

2025/07/5 11:30

7月2日午後8時28分頃、中国浙江省金華市東孝郷にある金温地方鉄道会社の管轄路線「滬昆線」東孝駅構内で、貨物列車がブレーキの遅れにより下り本線に進入し、通過中だった旅客列車K1373次の機関車と側面衝突した。この事故により、旅客列車の機関車と前方車両が脱線した。

上海鉄路局によると、事故発生後、鉄道当局が直ちに対応にあたり、同日午後11時27分に機関車を交換。K1373次列車は無事に運行を再開し、乗客に負傷者は出なかった。

しかし、約3時間の車内滞留中には電力供給が途絶え、空調も停止。乗客の王さんは「車内は蒸し風呂のようで、窒息しそうだった」と語った。SNSや各種メディアで拡散された動画では、多くの乗客が上半身裸になるなど、汗だくの状態で耐えている様子が確認され、「もう窒息しそうだ」と叫ぶ声も録音されていた。

極度の暑さと酸欠状態のなか、一部の乗客は換気のため窓やドアを開けるよう求め、乗務員と口論に発展する場面も見られた。中には自らの手で車窓を割って換気を試みた乗客もおり、その様子も動画で確認されている。ガラスが粉々になった車窓をスタッフが身体で覆い、二次被害を防ごうとする姿も見られた。

K1373次を管轄する広州鉄道公安局懷化公安処の担当者によれば、車窓を破った乗客は派出所に連行されたものの、状況を鑑みて拘留には至らず、口頭による注意指導の後に釈放された。同公安当局は「緊急時には非常用のハンマーで窓を割って脱出できる」と、規則に則った行動であることを説明した。

7月3日未明、上海鉄路局金華車務段は正式な事故報告と謝罪文を発表。「旅客の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」としたうえで、「貨物列車の停止不備が原因で旅客列車が脱線したが、人的被害は出ていない」と説明した。

なお、上海鉄道カスタマーサービスセンターによれば、今回の事故による遅延や不便に対する補償については、現時点で具体的な案内は行われていない。

(中国経済新聞)