中国証券監督管理委員会(中国証監会)は6月18日、重要な公告を発表した。2025年10月9日より、適格海外投資家(QFII)に対し、場内ETF(上場投資信託)オプション取引への参加を許可する。この取引はヘッジ(套期保值)を目的に限定される。中国人民銀行および国家外貨管理局との協議を経て決定されたこの措置は、中国の資本市場の国際化と高レベルな制度開放をさらに推進するものだ。
今回の措置は、2024年7月の中国共産党第20期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で掲げられた「適格海外投資家制度の最適化」という政策方針を具体化する一環である。中国証监会は今年に入り、適格海外投資家の投資範囲を拡大する一連の改革を進めてきた。具体的には、国内の商品先物、商品オプション、そしてETFオプションなどの金融商品への参加制限を段階的に緩和している。
このような改革の目的は、海外投資家にとって中国市場の魅力を高め、特に長期的な資産配分を目的とする機関投資家の参入を促進することにある。ETFオプションは、リスク管理ツールとして広く利用されており、市場の変動に対するヘッジ手段を提供する。適格海外投資家がこれを活用することで、投資の安定性が向上し、A株(中国本土上場株式)への長期投資が促進されると期待されている。
ETFオプション取引への参加許可は、以下のような意義を持つ。
1,投資範囲の拡大とリスク管理の強化
ETFオプションは、特定のETFの価格変動リスクをヘッジするための効果的なツールである。海外機関投資家、特に年金基金や保険会社などの配置型資金は、市場のボラティリティに対応するリスク管理手段を重視する。今回の措置により、これらの投資家はより柔軟にポートフォリオを管理でき、中国市場への信頼感が高まる。
2,外資参入の促進とA株市場の安定化
適格海外投資家は、中国市場において重要な外资流入のチャネルである。2024年末時点で、QFII制度を通じて中国市場に投資する海外機関は800社を超え、運用資産規模は数兆人民元に達している。ETFオプションの導入は、こうした投資家のニーズに応えるものであり、特に市場の下落リスクを管理しながらA株への投資を拡大したい機関にとって魅力的だ。これにより、市場の短期的な変動が抑制され、長期的な安定性が向上する。
3,上海・深圳市場の国際的地位の向上
上海証券取引所と深圳証券取引所は、アジアを代表する金融市場として成長を続けている。ETFオプション取引の開放は、国際的な金融商品のラインナップを充実させ、香港やシンガポールなどの金融ハブとの競争力を強化する。中国証监会の今回の措置は、上海を国際金融センターとしてさらに発展させる戦略とも連動している。
(中国経済新聞)