中国の財新網は2024年4月14日、2024年の銀行融資データを発表し、興味深い傾向が明らかになった。多くの銀行の2024年末の預金残高は2023年末と比べてわずかに増加したが、この増加は主に個人預金によるもので、企業(非個人)の預金残高は逆に減少している。具体的な例として、光大銀行の企業預金残高は前年比8.13%減、工商銀行は4.33%減、民生銀行は4%減、農業銀行は3.6%減、建設銀行は3.5%減、交通銀行は2.8%減となっている。特に、企業の当座預金の減少幅が顕著で、例えば浙商銀行では33%以上、光大銀行では21%以上、浦発銀行では10%以上の減少が記録されている。
この企業預金の減少には、外部と内部の両方の要因が関係している。まず外部環境として、近年、中国経済は高成長から高品質な発展へと移行している。この過程で、企業顧客の営業キャッシュフローが縮小し、流動性準備の需要が低下している。また、預金金利が複数回引き下げられたことで、預金の魅力が低下し、企業資金は理財商品や資産運用商品などの他の投資先へと流れている。
一方、内部要因としては、市場や業界のサイクル調整が影響している。例えば、不動産、建設業、インフラなどの業界は深刻な調整局面にあり、これらの業界の顧客の預金増加の勢いが不足していることが全体の足を引っ張っている。さらに、銀行は純金利マージンの縮小に対抗するため、預金構造を積極的に調整し、高コストの預金商品を抑制することで量と価格のバランスを図っている。この戦略は短期的には企業預金の総量増加に圧力をかけている。
このような状況は、中国経済の構造転換と銀行業界の戦略的対応が複雑に絡み合った結果と言える。今後、企業預金の動向は、経済全体の回復ペースや金利政策の変化に大きく左右されるだろう。
(中国経済新聞)