プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が中国で各社から相次ぎ契約を打ち切られ、資本市場で騒ぎとなっている。
中国国務院直属の招商局集団の傘下にある招商局港口集団は5月28日夜、2023年度株主総会で確定した、PwCを2024年度の会計監査役とするとの議案の提出を中止すると発表した。
また中国人寿、中国人保、中国中鉄、招商銀行などの大手国有企業も、2024年の会計監査役を当初の予定だったPwCから他社に切り替えるとしており、PwCは2億元(43億円)以上を失うことになる。
経営危機に陥っている中国の不動産大手「恒大」は、上場後長らくPwCを会計監査機関としており、毎年の財務諸表に対する監査として「特記事項なし」との意見書が示され、報告は正しく信頼できるものと見られていた。しかし恒大が債務不履行に陥ったことで、PwCに対する風当たりが強まり、先ごろは恒大の管財人がPwCを起訴する予定との報道もあった。PwCはその直後に、ネットで拡散した告発を受けて香港の「会計・財務報告局」の調査を受けており、結果の発表を待たずに大手数社から引き合いが取り消されている。
今年に入ってから、PwCとの契約解除を決定または予定しているという企業の数は概算で20社近くに達している。調査会社windによると、2023年度、A株上場会社のうちPwCを会計監査役としているのは計107社で、監査報酬は計8.69億元(約1883億円)となっている。しかし現段階で、中集集団および中集車両、青島港、青島ビール、東鵬飲料、粤電力A、邁瑞医療、滬󠄁硅産業など14社が、PwCとの契約を打ち切るか他の会計事務所を起用すると発表しており、この分の監査報酬を合わせると計1.6億元(約34.7億円)に達する。
(中国経済新聞)