アメリカで現地時間5月7日、TikTokとその運営会社である「バイトダンス」が、TikTokの利用禁止を定めた「アメリカ人を保護し外国企業によるアプリの支配を避ける法律」は違憲だとして、差し止めを求めて連邦裁判所に提訴した。
TikTokは訴状で、「アメリカ国会史上初めて、特定の言論プラットフォームを恒久的かつ全国で禁止する法律だ」と称している。TikTokの禁止はアメリカ人1.7億人に対する憲法修正第一条の違反であるとし、「2025年1月19日までの閉鎖を余儀なくさせられる」と表明している。
TikTokはまた、「禁止令は、誰もが納得する証拠に基づくものでなく、単なるデータセキュリティーやコンテンツ操作への推測や懸念感から生まれたものであり、仮に懸念があっても『テキサス計画』など実行済みの措置で解決できる」とも表明している。
アメリカ国会は今年3月から、「国の安全を守る」と銘打ってTikTokを禁止する法案の可決を急いでいる。バイデン大統領は4月24日に、バイトダンスに対してTikTokのアメリカでの事業の売却を強制する内容を示した「950億ドル相当の対外援助法案に署名した」と述べた。バイトダンスはおよそ9か月の間にTiktok売却しなければ、アメリカと中国全土で利用が禁止となる。
バイトダンスは4月25日、「『TikTokの売却案を検討中』という外国メディアの情報はデマであり、売却する意図は全くない」と表明した。
TikTokとバイトダンスは、ビジネス面でも、技術や法律的に見ても売却は不可能だと見ている。禁止令は平等に保護されるという会社の権利を奪うことになり、民間の資産の侵害にもあたるという。
TikTokは2020年にも、当時のトランプ大統領が発した禁止令に対し、社員やクリエイターもあわせてそれぞれ差し止め訴訟を起こし、勝訴している。
この法案はアメリカ国内でも論議を招いている。アメリカ自由人権協会や電子フロンティア財団など権利団体が重ねて「憲法修正第一条に違反している」と非難し、SNSや言論に対する政府の過度な規制の前例となるとの声明を発表している。
(中国経済新聞)