中国の電気自動車(EV)メーカー「蔚来」(NIO)はこのほど、新たなバッテリーレンタルサービス「BaaS」を発表した。より柔軟な形で新エネ車の市場競争に参入することが狙いである。このサービスは2020年8月20日に打ち出されたもので、車のタイプに応じた容量の電池をレンタルし、月ごとにサービス料を支払うものである。今回は料金が改定され、走行距離が標準タイプの場合はレンタル料がこれまでの月980元(約2.03万円)から728元(約1.51万円)に、長距離タイプの場合は同じく1680元(約3.48万円)から1128元(約2.24万円)にそれぞれ値下げとなる。
蔚来はまた、2つ目の新たな車種を打ち出す。創業者で会長兼CEOである李斌(Li Bin)氏は、新たな車名は「楽道」(ONVO)と命名したと発表した。「楽道」はBaaSの料金がこれまでの車より安く、初めての車種はBOMコストがテスラModel Yよりおよそ10%安いという。蔚来は、「楽道」をテスラの対抗品と位置付けることで、2024年には月間販売台数を2万台レベルに回復させたいとしている。
李氏は、電池のレンタルやスマート運転の月次料金制度は柔軟な販売拡大策であるとし、車本体の価格を据え置いて利用者にメリットをもたらすことができると強調している。また、蔚来の共同発起人である秦力洪氏は、「価格を改定することで得意客、新規利用者いずれもBaaSでメリットがもたらされる。レンタル4回で無料交換1回、といったサービスを提供する」と述べている。蔚来はこうした「値引きなし」のキャンペーンで電池付きの車の購入価格を下げ、さらには電池交換モデルを武器に大きな商業価値やマーケットでの可能性を生み出すことになる。
また蔚来は、電池の寿命問題をかなり重視しており、CATLと提携して車載電池の寿命を15年に延ばす取り組みを打ち出した。充電や交換のネットワークをきめ細かく運営することで、電池の15年後の「健康度」を85%とすることが狙いである。蔚来はセーフティーデザインやフルタイムの温度管理システムを導入して電池の性能を上げ、耐用年数を引き延ばすほか、充電交換ネットワークや独自の電池メンテナンスアルゴリズムで性能をモニタリングする。
李氏はBaaSの価格改定について、各方面の利益バランスをとるためと述べている。「蔚来の車を買ってから電池をレンタルする。つまり事実上、蔚来エネルギー電池資産会社の電池をレンタルすることだ」と指摘した。蔚来エネルギーは電池資産を健全なものにした上、各方面の利益バランスもとっているので、価格を改定するにはすべてのステークホルダーのビジネスモデルの継続性を考える必要があるという。
蔚来はまた、利用者の利益も念頭に置いている。「電力価格に関する政策で年に2-3万元の収入が得られる。電池交換ステーションも分散型蓄電というビジネス利用が成立する」と表明している。
(中国経済新聞)