国務院の李強総理は全人代の政府活動報告で、今年の主な目標として、「都市部の新規就業者数を1200万人以上、都市部の失業率を5.5%前後に抑える」と語った。1170万人以上という大学卒業者数を考えれば、この雇用目標はとりわけ重要である。報告では、雇用の基盤である生活の位置づけが強調されたほか、税制や金融面の支援の強化、雇用安定や再就職、特定融資などの実行、各業種の企業への支援強化など、雇用安定・所得増につながる様々な策が打ち出された。
首都経済貿易大学の中国新就業形態研究センター主任である張成剛氏は、現在の大卒者の就職について、「新たな職種や、若者の就職効果を引き上げる方法を開拓したらどうか」と述べた。2023年の雇用情勢を見ると、経済政策では雇用を優先するとしながらも、賃金の上昇は鈍く、一部の業種で労働力が減退しているといった問題が残っているという。
また政府活動報告では、大卒者の増加傾向に対処するため若者の就職を促進する政策を打ち出し、就職や起業への指導を改善するよう示されたほか、新たな雇用形態での労働者への労災補償の拡大を訴えている。大卒者の増加に伴って就職難が一段と深刻になり、雇用政策に対し一段と目を向けなければならないという。
張氏は、就職難の改善に向けて「村おこしや町おこし、企業の海外進出、既存業種のデジタル化などといった分野を開拓すべき。これらの業種は若者向けに大量の雇用を生み出せる」という。また、就職戦線を乗り切れるように、就職やキャリアプランへの指導をすべきとしている。
また、政治協商委員である中国労働社会保障科学研究院の莫栄(Mo Rong)院長も、「政府は今、就職口の拡大に向けて一段と力を入れているほか、大学新卒者向けに就職や起業を促す包括的政策を行っている」と述べる。このほか、政府活動報告では、高成長の妨げとなり得る策を講じることのないように、各地域や部署に対して雇用の見通し改善や成長につながる策を打ち出すよう求めている。
(中国経済新聞)