中国のGPU製造大手「壁仞科技」、またも創業メンバーが離脱 

2024/01/30 08:30

中国GPU(画像処理装置)の国内製造大手である「壁仞科技」は、創業メンバーの1人である徐凌傑氏が離脱した。同じく創業メンバーである焦国方氏も2023年3月に離脱しており、これで2人目となる。

関係者の話によると、GPUチップの大手である壁仞科技の立ち上げ人の1人で総裁である徐氏はすでに退社しており、今後はAI(人工知能)アルゴリズム関連で起業をする模様である。この関係者は、「徐氏は壁仞科技に愛着感があり、あまり憶測をたてないで欲しい」とも述べている。徐氏は社員に送った退職メッセージで、 「これから歩む道でも皆さんと支え合っていきたい。AGI(汎用人工知能) is calling, 皆さんさようなら」と表明している。

公開情報によると、徐氏は上海交通大学電子工程科の出身で、アメリカ・テキサス大学オースティン校でコンピューターエンジニアリングの修士課程を学び、さらにカリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得した。「アリババ」のアリクラウドのスマート事業グループリーダーとしてAIアーキテクチャとアプリのソフト・ハードウェアの調和に携わった経験もあり、その前にはNVIDIA、AMD、サムスンでGPUに関する上級マネージャーやアーキテクトを担当していた。2019年に壁仞科技を立ち上げ、オリジナル汎用コンピューティングの開発に取り組んでソフト・ハードウェアの効率型プラットフォームを打ち立てたほか、スマートコンピューティングのトータルソリューションをもたらした。

壁仞科技は発足以来、主な投資機関から目を向けられ、啓明創投、IDG資本、中国平安、華登国際、高瓴創投、碧桂園創投、新世界集団、源嗎資本、高榕資本、招商局資本、グリー集団、BAI、華創資本、華映資本、基石資本などから融資を受けた。2020年6月にはAラウンド融資で資産額が11億元(約227億円)となり、同年8月にはPre-Bラウンド融資で累計20億(約413億円)近くに達し、2021年3月にはBラウンド融資を受け、資産額は目下、50億元(約1031億円)以上となっている。

これをバックに成長も著しく、2022年3月には初めての汎用GPUを披露、同年8月には同じく初となる汎用GPUチップを発表した。2023年7月には、上海人工知能実験室とともに、AIオープンコンピューティング(DeepLink)をベースにAIソフト・ハードウェアエコロジーの整備に取り組んだ。しかし2023年10月、アメリカ商務省産業安全保障局(BIS)により、他の半導体企業12社とともに制裁対象に指定された。壁仞科技はその際に、「強く反対する。アメリカ政府当局にアピールした上、見直しをするよう呼びかける」との声明を発表していた。

また情報筋によると、壁仞科技は去年、広州産投から新たに20億元(約413億円)の融資を受けており、さらには香港でのIPO上場を企てているという。同社はいずれに対してもコメント未発表である。

(中国経済新聞)