最近、「万達集団(ワンダ・グループ)」が運転資金と引き換えに一級都市と二級都市にある「万達広場」を売却する計画であると中国で報じられた。
この件に関して同社傘下で商業施設事業を統括する「万達商業管理集団」は、周知していないと回答。陝西省の万達広場総経理によると、現在いくつかのプロジェクトが実際に買い手と接触しているという。
万達集団は、5年前にも苦境に立たされており、その時は、創業者である王健林(ワン・ジエンリン)氏が資産を売却。2017年7月19日、万達商業地産が77軒のホテルを広州の不動産開発会社、富力地産に199億600万元(約4,032億円)で譲渡。13の文化観光プロジェクトの株式の91%を438億4400万元(約8,881億円)で香港のサナックに譲渡、取引総額は637億5,000万元(約1兆2,900億円)となり、中国の不動産史上1回の取引としては過去最高となった。
最近、再び同じような状況に直面し、王氏は同様の選択をした。多くの専門家は、王氏の資産売却は万達集団の資金繰り状況と関係があるのではないかと見ている。
万達商業管理集団は、2021年10月に初めて目論見書を提出し、2023年6月28日までに4度目の目論見書を提出。目論見書の最新版によると、万達商業管理集団の機関投資家には、新世界発展(香港の不動産開発大手)創業者の鄭裕彤一族、碧桂園、中信資本、アントグループ、テンセント、PAG投資家など22社が含まれている。
2023年6月2日、中国証券監督管理委員会は万達商業管理集団に対し、内部ガバナンス、賃貸管理、関連取引、資金使途など6分野の補足資料の提出を求めた。しかし、11月30日現在、中国証券監督管理委員会の公式ウェブサイトに掲載されている「国内企業の海外証券発行・上場届出書」の届出状況において、「補足資料」のままとなっている。
香港証券取引所の規定によると、上場予定会社が提出する目論見書の有効期間は6ヶ月であることから、同社の第4版目論見書の有効期限は2023年12月28日と見られる。
目論見書によると、万達商業管理集団は2023年末までに上場できなかった場合、投資家に約300億元(約6,077億円)の株式買戻しを年率8%で支払う必要がある。2023年上半期末時点で、同社の現預金残高は146億9,200万円(約2,976億円)であり、これは買戻し額の半分以下とされる。
(中国経済新聞)