中国のネットで、「80年代生まれは結婚や離婚に、2000年代生まれは出会いや別れにあくせく、1990年代生まれだけはひたすら金稼ぎ」という言い方が伝わっている。皮肉に聞こえるが、生きる上でお金稼ぎは当然のことである。
IT業界が下り坂となり大規模なリストラが進む中国で、「降本増効」(コストダウン・効率アップ)、「去肥増痩」(ぜい肉を落とす)、「卒業」などといった言葉が生まれているが、これらはみな「給料減」や「リストラ」を美化したものであり、IT従事者の苦しさややるせなさが込められている。
ITの世界から足を洗う人もおり、「安定」を目指して正社員や公務員への試験にパスして職場で安定した仕事を手にする人、また学歴やスキルが足りないと見て大学院入試などにより「ハード面」の向上を狙う人、またさらに新たな業界でチャンスや高給を求める人、様々である。
こうした流れは今、一段と強まっており、特に従来型の業界がIT関係者の行き着く先となり、給与もまずまずという職位を得た人もいる。
IT大手で報道部門のリーダーであった李頴慧さんは今年1月、安定した仕事を求めて、ITに別れを告げて紙面メディア業界に戻ることになった。
ITメディアにいたころは、おおむね約1万元の固定給と原稿執筆数に応じた業績手当があり、ノルマが毎月10件で、未達であれば天引き、超えればその分だけ原稿料が手に入り、手取りは合わせて2万元であった。
ところがなんと、マイホームやマイカーのローンを抱えた中でリストラされてしまった。
そこで、試験をパスして紙面メディアに入社した。
紙面メディアの給与は普通、基準賃金+原稿料であり、基準賃金は大都市の場合4000—5000元、原稿料は文字数やその中身により1件数百元から千元以上、さらに通勤手当などが500元前後で、月収はトータルで7000—12000元となる。原稿を早く上手に書けばその分稼ぎも増える。けれど時間も能力も限りがあり、大稼ぎするのはやはり困難である。
李さんはしかし、収入もよくしっかりしており、人に自慢できる仕事だと感じている。
(中国経済新聞 陳 橋輝)