7月、世界で唯一、米国、英国、EUでの使用を緊急承認された新型コロナウイルス感染症暴露前予防の中和抗体薬エヴスヘルド(Evusheld、中国語名:恩適得)が、海南省に到着した。英製薬大手アストラゼネカ社が開発したこの薬は、7月9日から海南省の博鰲(ボアオ)楽城先行区で初めて使用された。まだ医療保険を使った請求はできず、2回の注射で13300元(約25.7万円)必要となる。この3週間で、2つの指定病院では100人以上がエヴスヘルドの注射を受け、そのうち、青少年と高齢者が主であったことが分かっている。
エヴスヘルドは、中国に初めて輸入された新型コロナウイルスに対する長時間作用型抗体で、投与後6カ月以内であれば新型コロナウイルスの感染リスクを低減させることができる。免疫不全者または免疫低下者における新型コロナウイルス感染症の予防に優先的に適応される。これまでの臨床試験では、エヴスヘルドを投与された患者がプラセボと比較して、新型コロナウイルス感染症を発症するリスクが統計的に有意に減少することが示されている(予備解析では77%)。データは、エヴスヘルドが BA.4 および BA.5 を含む複数のオミクロン株の亜系統に対して依然として発症予防効果があることを示している。一方、開発・製造を担当するアストラゼネカ社は、今後の中国での発売計画について明らかにしていない。
博鰲楽城国際医療観光先行区に入ったエヴスヘルドは仲介業者が購入したもので、2000万元(約4億円)以上の価値がある。一人当たり1.3万元で計算すると、2000万元以上の価値があり、約2000人近くに投与することができる。3週間で100人以上が注射している現状を見ると、2,000人分の注射を完了するのに約1年かかることになる。
(中国経済新聞)