中国では、11月は国慶節(建国記念日)と元旦の間に当たるため、例年は旅行の閑散期とされる。しかし今年は、各地の小中学校で秋休みが相次いで導入され、家族旅行の需要が高まっている。週末と組み合わせて5日間程度の連休を確保する家庭も多く、高速鉄道の乗車券や航空券の予約が急増している。
第一財経の報道によると、山東省青島市では11月5日から小中学生を対象とした初めての秋休みが始まる。中国鉄道の乗車券予約サイト「12306」を確認したところ、11月4日午後6時以降の下校時間帯には、青島発北京行きの高速鉄道で複数の列車がすでに完売。11月5日午前も、北京や上海など人気都市に向かう列車の一部時間帯で乗車券が売り切れている。
福建省でも11月に初の秋休みが実施される。福州市の秋休みは11月18~20日で、週末と合わせると5連休となる。現地の小学生の保護者は、11月18日の航空券価格がすでに上昇しており、「夏休みより高いと感じる」と話している。
航空券予約プラットフォーム「航旅縦横」で確認したところ、中国東方航空MU5600便の福州長楽発上海浦東行きは、11月17日の最低運賃(諸税・付帯料金を除く)が550元だったのに対し、翌18日は1090元と、ほぼ2倍に上昇した。厦門航空MF8165便の福州長楽発北京大興行きも、17日の最低運賃750元から18日には1440元に値上がりした。
旅行予約サイト「去哪儿旅行」のビッグデータによると、10月28日時点で、11月出発の航空券予約数は前年同期比20%増加した。このうち、12歳以下の子どもの航空券予約数は1.6倍に増え、保護者の予約数も50%増加した。秋休みが子どもだけでなく、家族全体の旅行需要を押し上げていることがうかがえる。
同社ビッグデータ研究院の研究員、楊涵氏は、昨年は一部都市での試験的な導入にとどまっていた秋休みが、今年は「2.0時代」に入り、全国100都市規模で連動し、前後約1カ月にわたって旅行需要に波及していると指摘する。
同氏によると、11月は従来、国慶節と元旦の間に位置する旅行閑散期だったが、過ごしやすい気候や紅葉の見頃、混雑を避けた旅行ができる利点などから、約1カ月続く旅行シーズンへと変わりつつある。
去哪儿旅行のデータでは、11月の航空券予約者の居住地上位10都市は、上海、成都、深圳、北京、広州、重慶、杭州、仏山、瀋陽、青島の順となった。上海、北京、広州を除く7都市では秋休みが実施される。
また、三線都市以下の地方都市に住む利用者の11月の航空券予約数は前年同期比35%増加し、一線・二線都市を上回った。秋休みを導入した四川省の雅安、眉山、瀘州、楽山、徳陽、湖南省の益陽、江蘇省の泰州などでは、航空券予約数が前年同期の2倍以上となった。
こうした動きから、秋休みによる旅行需要の拡大が地方都市にも広がっていることが分かる。地方の家庭にとって、秋休みは旅行の時間を確保するだけでなく、省をまたぐ遠距離旅行の機会にもなっている。
旅行先や航空路線にも変化が表れている。研修・学習旅行(研学旅行)の需要を背景に、長距離路線の予約が大きく伸びている。去哪儿旅行によると、仏山発成都行きの航空券予約数は前年同期比5倍、青島発長沙行きは3.7倍、青島発西安行きは3.6倍に増加した。
秋休みは、従来の旅行閑散期だった11月に新たな需要をもたらす可能性がある。今後、導入都市がさらに増えるなか、11月が親子旅行の新たな定着シーズンとなるか、旅行市場の動向が注目される。
(中国経済新聞)
