蟹は甲羅に似せてしか穴を掘れない…。
17日午後、高市改造内閣の陣容の発表を見ながら、さらに夕刻、45分に及ぶ高市早苗首相の会見を視聴しながら抱いた感慨である。
言うまでもないが、この箴言の本来の表現は「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」であり、その意味するところも多義の解釈がある。しかし、第2次高市改造内閣の陣容とそれに先立つ16日の自民党役員人事も含め、決定に至る経緯をじっと見据えるなかで胸の裡に浮かんだのは「蟹は甲羅に似せてしか穴を掘れない」という感慨であった。
今回の内閣改造は18人のうち8人が留任、残る10人が入れ替わり、うち7人が初入閣というものだが、要は「高市色」に沿うもの、ありていに言えば、高市氏がほしいままに動かせる「顔ぶれ」だけで塗り固められた内閣と言うべきである。すなわち、高市氏自身の「甲羅」に似せてしか穴を掘れないことを如実に示したものだったと言えるのである。そして詰まるところ、すべては来年秋の総裁選での再選、高市政権の存続、すなわち権力の座になんとしても居続けるという一点に腐心した内閣改造および自民党役員人事だと言える。
夕刻の会見で高市氏は「日本列島を強く、豊かにする、決断と実行の内閣」と強調し、「積極性と情熱」「挑戦」という言葉を繰り返した。しかし、政治が本来持つべきダイナミズム、躍動感が伝わってこず、繰り出す言葉はいずれも空虚に響かざるをえなかった。とりわけ、財務、外交、防衛、経済安保など政権の「骨格」を成す立ち位置、行き方は、高市氏の念頭にあるところを一寸たりとも出ることがないことを露呈した。
