DeepSeekが企業価値8兆円へ 中国AI史上最大級の資金調達か

2026/06/17 08:30

中国のAIスタートアップ DeepSeek公式サイト が初の外部資金調達を完了し、約74億ドル(約530億元、約1兆600億円)を調達したと、メディアが6月16日に報じた。実現すれば、中国AI業界における単一ラウンドとして過去最大規模の資金調達となる。

報道によると、資金調達後の企業価値は最大590億ドル(約4,200億元、約8兆5,000億円)に達し、4月時点で伝えられていた100億ドル規模からわずか2カ月余りで約6倍に膨らんだ。

今回のラウンドで最大の出資者となったのは、DeepSeek創業者の梁文鋒氏自身だ。報道では、梁氏が約200億元(約4,000億円)を拠出したとされる。このほか、中国国家人工知能産業投資基金が10億元(約200億円)を出資。さらに、Tencent Holdings、CATL(寧徳時代)、JD.com(京東集団)、NetEase、IDG Capital なども投資家として名を連ねたという。

今回の資金調達で市場関係者の注目を集めているのは、その独特な取引スキームだ。

報道によれば、梁氏は外部投資家に対し、DeepSeekへ直接出資するのではなく、自身が管理する有限責任パートナーシップ(LP)へ出資する形を求めた。また、すべての投資家に対して5年間のロックアップ(売却制限)を設定したという。例外は国家人工知能産業投資基金のみで、同基金はDeepSeekへ直接出資し、議決権を保有するとされる。

関係者によると、梁氏は短期的な利益を狙う投資家を排除し、長期的な視点でAI開発を支援するパートナーを選別することを重視したという。オープンソースAIの推進を掲げる同氏は、資本面においても長期志向を重視しているとみられる。

DeepSeekの資金調達観測が初めて浮上したのは4月17日だった。当時は企業価値100億ドル超で少なくとも3億ドルを調達し、主に計算資源の拡充に充てる計画と報じられた。

その後、わずか数日で評価額は急上昇した。4月下旬にはTencentやAlibabaなどの大手IT企業が投資交渉に参加しているとの観測が広がり、企業価値は200億ドル超へ上昇。さらに5月には中国の国家集積回路産業投資基金の参加が報じられ、評価額は450億ドル規模にまで膨らんだ。

同時期、梁氏は株式構成の見直しも実施した。4月27日にはDeepSeekの登録資本金を1,000万元から1,500万元へ増資し、自身の直接保有比率を1%から34%へ引き上げた。間接保有分を含めると、約84%の株式とほぼ100%の議決権を掌握しているとされる。

今回調達した資金は、AI計算インフラの拡充、研究開発の強化、人材向けストックオプション制度の充実、そして商業化の加速に充てられる見通しだ。

中国AI業界では近年、大規模言語モデル(LLM)開発競争が激化している。DeepSeekはオープンソース戦略を武器に急速に存在感を高めており、今回の大型調達が事実であれば、中国AI産業の勢力図にも大きな影響を与える可能性がある。

一方で、今回の内容は関係者情報に基づく報道であり、DeepSeek側から正式な発表は行われていない。資金調達額や企業価値の詳細については、今後の公式発表が注目される。

(中国経済新聞)