中国の外貨準備高、11月末に3.34兆ドル — 2015年以来の最高水準を更新

2025/12/9 11:00

2025年12月7日、国家外汇管理局(中国国家外貨管理局)が発表した最新データによると、2025年11月末時点で中国の外貨準備高は 33464 億米ドル に達し、前月(10月末)から30億ドルの増加、伸び率は 0.09% だった。この水準は、2015年12月以来の最高記録を更新するもので、外貨準備高は4ヶ月連続で 3.3 兆ドル台を維持している。

背景:為替・資産価格の変動が押し上げ要因

国家外貨管理局は、11月の外貨準備高上昇について、主として以下のような要因を挙げている:

世界的な金融市場で、主要経済圏のマクロ経済データや金融政策の見通しが為替や資産価格に影響を与えたこと;

ドル指数の低下により、ドル建て外貨資産を円換算・その他通貨換算する際に価値が上昇したこと;

実際、11月はドル指数が前月比で低下。ドル建ての世界の債券指数が上昇、さらに米国株の代表的株価指数であるS&P 500 もわずかながら上昇した。また、外貨準備高に含まれる非ドル通貨(ユーロ、英ポンド、日本円など)の為替変動も一部通貨で上昇があり、全体の押し上げにつながったという。

市場の見方:安定的かつ「適度に余裕ある」水準と評価

国内の金融機関などでも、この水準について比較的落ち着いた評価がなされている。例えば、东方金诚国际信用评估有限公司(オリエンタル・チナ・クレジット・レーティング)は、「現在の約 3.3 兆ドル超の外貨準備高は『適度に十分(適度充裕)』な状態にある」との見方を示す。

この水準は、ドル/ユーロなど為替の変動や世界経済の振れに対するクッションとして機能し、また、人民元の為替管理、国際収支や貿易の波乱、資本流出入の変化など、外部環境の変動リスクに備える「安全弁」としての役割を果たす可能性がある。

見通し:今後も安定、外部ショック対策の“備え”として

分析筋は、今後も当面のあいだ、外貨準備高が大きく変動せず、おおむね現在のレンジで維持される可能性が高いとみている。外部環境、すなわち世界的な金融市場の動揺、ドル安/ドル高、資産価格の変動などを考慮すると、3.3 兆ドル超の準備高は、人民元為替の安定や国際収支の変動耐性、国際金融市場での信用維持など、多方面における安定化の“抑え(バッファ)”として機能し続けると期待される。

日本にとっての示唆

日本円に直すと約 5,190 兆円という膨大な外貨準備高は、世界の貿易・資本フローの不確実性が高まるなかで、通貨・金融市場の安定における「安全網」の一つといえる。

一方で、為替の振幅が大きいような状況では、ドル建ての資産価値の上下や人民元の為替管理の変動が、中国経済だけでなく世界市場に波及する可能性がある。日本を含む国際社会にとって、今後の動向を注視する必要がある。

(中国経済新聞)