中米の貿易摩擦激化、レアアース輸出規制に米国が100%関税で対抗

2025/10/12 13:06

中国商務省は10月12日、最近の対米貿易政策に関する談話で、米国の対中関税引き上げや船舶港湾手数料の決定に対し、強い反発を示した。中国は先週、レアアース関連品目の輸出規制を強化したが、これに対し米国は100%の追加関税を発表。両国間の貿易摩擦が再燃する中、中国側は「米国の二重基準」と非難し、対抗措置の可能性を警告した。
商務省報道官は、10月9日に商務省と税関総署が発表したレアアース関連品目の輸出規制について、「中国政府が法令に基づき、輸出管理体制を整備するための正当な措置だ」と説明した。世界情勢の不安定さや軍事紛争の頻発を背景に、レアアースが軍事分野で重要視されている点を指摘。「中国は責任ある大国として、世界平和と地域安定の維持、防拡散義務の履行を目的に、これを実施する」と強調した。
規制は輸出禁止ではなく、適格な申請には許可を与えるものだという。発表前に、中国は二国間輸出管理対話メカニズムを通じて関係国・地域に事前通告済みで、「各国との対話交流を強化し、グローバルサプライチェーンの安全を維持したい」と述べた。
規制の実施後については、「国家安全保障と国際共同安全を堅守し、公正・合理的な原則に基づき、慎重かつ適度に運用する」との立場を改めて表明。影響の事前評価では「関連影響は極めて限定的」とし、許可審査を法令に基づき行う一方、汎用許可や免除などの利便化措置を積極的に検討する方針だ。
「民間用途で合規的な申請であれば、すべて承認可能。企業は心配する必要はない」と呼びかけ、「中国政府は各国と協力し、世界平和とサプライチェーンの安定を維持する」との決意を語った。
米東部時間10月10日、米国は中国のレアアース規制に対し、対中追加関税を100%に引き上げることを発表し、重要ソフトウェアの輸出規制も強化した。これに対し、中国側は「米国の典型的な二重基準」と痛烈に批判した。
報道官は、中国の規制が「法令に基づく正常な行為」であり、「国家安全保障と国際共同安全を堅守し、公正・非差別的な原則で実施する」と主張。一方、米国は国家安全保障の名の下に輸出規制を乱用し、半導体機器やチップなど多数の品目に単独制裁を課している点を挙げ、「米国の規制リストは3000品目を超え、中国のものは900品目余りに過ぎない。米国の最低含有量ルールは0%にまで及ぶ」と指摘した。
これらの米方措置は「企業権益を深刻に損ない、国際貿易秩序を乱し、グローバルサプライチェーンを破壊する」と非難。9月の米中マドリード貿易会談以降、わずか20日余りで米国が中国企業を輸出規制リストや特別指定国民リストに追加、半導体関連企業への「透過性ルール」適用で数千社の中国企業に影響を及ぼした点を挙げ、「中米貿易会談の雰囲気を破壊した」と強く抗議した。
「高額関税の脅しは、中方との付き合い方の正しい道ではない。中国の立場は一貫しており、貿易戦争を望まないが、恐れもしない」とし、米側に「誤りを正し、両国首脳の電話会談合意を基に、相互尊重と平等協議で対話による解決を図る」よう促した。万一、米側が独断を貫けば、「中国は正当権益を守るための相応措置を断固取る」と警告した。
また、米国が10月14日から中国船舶に港湾手数料を課す決定についても触れ、中国側は「WTOルール違反で、『米中海運協定』の平等互恵原則に反する単独主義的行為」と強く非難。4月17日の米貿易代表部発表以来、中国は不満を繰り返し表明し、ロンドンでの米中貿易会談で協議を続けてきた。
中国側は301調査報告書への書面反論や協力提案を行ったが、米側の態度は消極的で、10月3日の公告で具体的な料金要件を明記したため、「正当権益を守るためのやむを得ない防御措置」として、対米船舶に「船舶特別港務費」を課す決定を下した。これは『中華人民共和国国際海運条例』に基づくもので、「国際海運・造船市場の公正競争環境を守るための措置だ」と説明した。
「米側は自身の誤りを直視し、中方と相向いて歩み、対話協議の正しい軌道に戻ることを望む」と締めくくった。
中国のレアアース輸出規制は、グローバルサプライチェーンの鍵を握る資源の管理強化として注目を集めている。一方、米中の対立激化は、両国経済だけでなく、世界貿易全体に波及する可能性を秘めており、国際社会の懸念が高まっている。商務省は今後も対話の重要性を強調しつつ、必要に応じた対抗姿勢を崩さない構えだ。

(中国経済新聞)