国慶・中秋連休中に全国で宅配便72億3,100万個処理

2025/10/12 07:30

中国国家郵政局の最新データによると、10月1日から8日までの国慶節・中秋節連休期間中、全国の郵政・宅配業界は計72億3,100万個の宅配便を処理し、1日平均では9億個を超えた。業界全体の運行はおおむね安定しており、連休期間中の旺盛な消費意欲と観光需要を背景に、宅配業界は「休まず動くインフラ」として重要な役割を果たした。

今年は国慶節と中秋節が重なり、さまざまな消費シーンやサービスモデルが広がりを見せた。郵政・宅配業界では数百万人の配達員が休暇中も業務を継続し、サービス品質の向上と円滑な物流体制の確保に努めた。各企業は市場ニーズに応じてサービス内容を拡充し、旅行体験の向上や消費喚起にも貢献した。

連休前には、月餅や上海ガニ、海産物、牛羊肉、果物などのギフト配送がピークを迎えた。各社は“団円の心意(家族の絆を結ぶ贈り物)”を届けるため、物流全体での効率化を図った。

出荷段階では、広東・貴州・江蘇・湖北などに集荷拠点や冷蔵倉庫を増設し、「地元から発送、すぐに出発」を実現。中継輸送では航空輸送能力を強化し、動的に運力を配分することで、節日ギフトのスムーズな流通を支えた。末端の配達段階では、複数倉庫の連携とAIによる自動仕分けを活用し、より精密な「最終1キロ」の配送を実現している。

今年の連休では、「宅配×観光」の新しいサービス形態も注目を集めた。宅配企業は駅・空港・ホテル・観光地などに店舗やロッカー、自動発送ボックスを設置し、観光客にとって便利で快適な旅行体験を提供。観光需要を消費拡大へとつなげている。

新疆カシュガル、海南三亜、西蔵ラサなど人気観光地では、特産品の配送需要が平時よりも大幅に増加。宅配企業は現地商店と連携し、「観光—購入—配送」を一体化した消費モデルを構築した。旅行者は重い土産を持ち帰る必要がなくなり、快適に観光を楽しめるようになった。

また、杭州の千島湖、厦門の鼓浪嶼、広州の北京路などの文化観光エリアでは、ブランドIPを生かした体験型店舗やロッカー設置が進み、荷物預かりや特産品配送など、観光客の多様なニーズに対応。新たに開設された「快递体験スペース」では、「快递+文旅+商業」をテーマに、実用性と楽しさを両立した体験を提供し、旅行中のストレスを軽減するとともに、地域経済への新たな活力を生み出している。

宅配業界は今や、単なる物流インフラにとどまらず、観光・消費・地域経済をつなぐ重要なハブとして、その役割を広げつつある。

(中国経済新聞)