ある舞台から垣間見えたこと

2025/10/5 08:30

酷暑のさなかのある週末、久しぶりに舞台鑑賞をした。上海文化広場で公演された『千と千尋の神隠し』である。

 ジブリアニメ最高傑作とも評された本作品の舞台化は2022年2月の帝国劇場での初公演を皮切りに国内外で好評を博している。特に2024年のロンドンでの初の海外公演では4か月にわたる全135公演でなんと30万人の観客動員数を誇ったという。そして今回の2025年夏の上海公演はアジア圏初の海外公演となり、7月中旬から8月中旬までのおよそ1か月にわたり上海の観客を魅了した。

 周知の通り、作品のテーマは千尋という女の子の成長物語なのだが、午後2時から始まった舞台は予想をはるかに超える迫力で途中20分の休憩をはさんだ5時まで、まるで全観客が彼女と共にその成長の旅をしているかのような気分に劇場全体が包み込まれた。個性あふれる魅力的な登場人物と奇抜なパペット。さらに目まぐるしく変化する巨大な舞台装置、そしてエンディングで披露された舞台裏の生オーケストラ。その全てが絶妙にかみ合い、夢のような物語世界を見事なまでに表現してくれた。舞台終了後にしばらく鳴りやまなかった観客の拍手喝采が舞台の素晴らしさを物語っていた。 

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