9月25日、中国石油化工集団(HKG:0386、以下シノペック)は南京で開かれた「現代水素エネルギー応用産業チェーン高品質発展推進会議」で、水素モビリティにおける新たな成果を発表した。異なるモデルの水素燃料物流車両3台が、上海市青浦区のQingwei総合エネルギーステーションを出発し、約1,500キロを走行して湖北省宜昌市の芝江サービスエリア南ステーションに到着。途中、上海、江蘇、安徽、江西、湖北の5つの省・直轄市を通過し、シノペックの水素ステーション6か所で補給を行った。
この走行実験は、シノペックの広域エネルギーステーション網を基盤にした長距離水素物流試験の一環で、北京―上海回廊や西部陸海回廊に続くもの。これまでに北京―天津、成都―重慶、上海―嘉興―寧波、済南―青島、武漢―宜昌の5つの都市間水素回廊を開設済みだ。

今回、上海―嘉興―寧波と武漢―宜昌の回廊を長江水素回廊で接続し、東西の水素モビリティ統合を強化。さらに成都―重慶回廊も取り込み、長江を軸とする水素ネットワークを構築する計画で、高速道路を走る水素車両の利便性を高める。
シノペックは現在、年間445万トンの水素生産能力を持ち、中国を代表する水素企業の地位を維持している。青島製油所では国内初の産業規模の海水水素プロジェクトを運営し、中原油田では100kW級SOEC(固体酸化物電解セル)のパイロットプラントを稼働中だ。
内モンゴル自治区オルドス市では、年間3万トン規模の風力・太陽光一体型水素プロジェクトが稼働し、石炭化学の脱炭素化に必要な水素を供給している。また、ウランチャブでは年間10万トンの同様のプロジェクトが進行中で、中国初の大規模・長距離純水素パイプラインを実現する見通しだ。
水素モビリティ分野では、シノペックは146の水素ステーションと11の供給センターを運営。「3+2」水素燃料電池パイロット都市群をカバーし、世界最大の水素ステーション運営事業者となっている。 今後は国有資産監督管理委員会(SASAC)と連携し、「水素ハイウェイ」構想を推進。全国規模で水素回廊と高速道路沿いの補給ネットワークを整備し、水素経済の活性化と持続可能なビジネスモデルの確立をめざす。
(中国経済新聞)