中国自動車大手の上海汽車集団と、ドイツのフォルクスワーゲンの合弁会社「上汽VW」は、「パサト」と「シュコダ」の各車種で年間生産体制36万台という規模の江蘇省南京の工場を来年に閉鎖する予定と伝えられた。従業員の一部はセダンの「ラヴィーダ」を製造している同じく江蘇省の儀征の工場に配置転換するという。
これについて上汽VWは9月21日、「事業計画をベース市場の流れに対応して生産拠点を見直すもので、正常かつ必要な経営行動だ。今の流れに前向きに対応するものであり、今後を見据えての計画や投資だ」と表明している。
上汽VWにとって江蘇省は、上海以外で初めて生産拠点を設けた場所で長年培った土壌があり、十分な製造経験を有している。省内には南京と儀征の2か所に車両工場があるが、江寧地域にある南京工場は都市の規模が拡大するにつれて市街地が近くなり、電動化やスマートシステムの体制づくりといった取り組みが難しくなっている。儀征とは距離にして80キロ以内であることから、資源の統合や経済面といった意味で、これら2工場の今後の位置づけを見直す必要が生じている。
上汽VWの販売・市場執行副総経理である傅強氏は先ごろ、構造面の費用の改善策を急ピッチで進めていると表明した。中身としては主に生産力の削減であって、VWブランドは以前は年産能力250万台であったが今後は150万~200万台とする必要があり、50万~100万台分が余分になると見られるので適度な調整が必要だとのことである。
このところ新エネ車が急速に普及している中国は今、国内メーカーのシェアが伸びる一方であり、2024年上半期も着実に数字を伸ばして過去最高となる60%以上に達していった。このあおりで海外との合弁ブランドがシェアをどんどん失っている。
その合弁ブランドの大手である上汽VWもこうした中、今年1~8月の合計販売台数は前年同期を5%近く下回り、急ぎ事業の見直しをする必要が生じている。
(中国経済新聞)