数日前、中国の浙江省で親族の結婚式に出席した。

浙江省は静岡県と友好都市であり、地理的環境や特産物もよく似ていて、海に面し丘陵地帯が広がり、魚介類やお茶の生産量が多い。

上海市と接している浙江省は、民間経済が非常に発達していて中国でもとりわけ企業が集中している。よって、市民の所得も中国全体でトップであり、豊かな地域と言える。また教育や文化が特に重視されており、かつては文豪の魯迅を、最近では実業家のジャック・マー氏を輩出している。

私は結婚式に参加する前に、祝儀の相場について尋ねてみたところ、普通の友人なら2000元（約4万円）、親戚なら5000元（約10万円）で、おじなど直近の親族は3-5万元（約60万-100万円）に至るという。また宴席の費用は平均8000元（約16万円）とのことである。

親戚や友人たちが一堂に会すると、話のネタはおのずと一番関心のある景気の先行き、ということになる。

中国では今、焦りを感じている層として以下3つのタイプが挙げられる。

一つ目は民間企業の関係者である。発注が大幅に減って製品価格も下がる一方で、事業が進まなくなり先行きが見通せない状態である。

二つ目は中年の親世代である。中国は今、就業率が低く、大学新卒者の就職率が20%以下とのデータもある。すでに「氷河期」状態であり、就職しそびれた子供が1日中家でスマホいじりという「引きこもり」問題が深刻化している。

三つ目は金融関係者である。中国はこれまで金融界が最もリッチな業界であり、銀行の管理職などは年収が100万元以上、投資ファンドのマネージャーなどはそれを上回る高給取りだった。ところが2024年に入り、銀行員の収入はほぼ40%減、投資ファンドが次々と破産している。上海では、ある35歳の投資ファンドの女性マネージャーが、給与の削減と巨額の住宅ローンに悩み2歳の子供を残して飛び降り自殺してしまった。

逆に今、最も焦りのない人は、毎月確実に退職年金が振り込まれるリタイヤ世代である。