オーストラリアを訪問している中国の李強総理は月曜日(6月17日)、アルバニージー連邦首相との会談後の記者会見で、オーストラリア国民に対しビザなし訪問を導入すると発表した。
今年に入り、中国とオーストラリアを結ぶ航空便は増加の一途をたどっており、往来が急速に回復している。中国の大手旅行サイト「トリップドットコム」によると、今年の国別訪問者数でオーストラリアは5位であり、インバウンドの予約件数は前年同期比155%増、オーストラリアから中国への航空便の本数は同じく220%以上の増加となった。その中で人気の訪問先は、上海、広州、北京、四川省成都、広東省深セン、浙江省杭州、重慶、福建省アモイ、江蘇省南京、陝西省西安であり、夏休みを前に両国間を結ぶ航空券の平均価格は去年より3割近く安くなっている。
トリップドットコムの副総裁である秦静氏は今回のビザ免除措置について、オーストラリアとの観光交流や経済交流が進むと見ているほか、100万人以上のオーストラリア在留中国人にとって帰省や観光での渡航が一段と便利になると見ている。秦氏は、「アジア太平洋地域の主要国である中国とオーストラリアは、経済面では補い合う関係であり、連携への潜在力が十分で、観光分野で一段と強力につながることを期待している」と述べている。
中国滞在歴30年近くになるというオーストラリア商会-上海商工会議所(AustCham Shanghai)のハイジ・デュガン(Heidi Dugan)会長は、このところ両国間の貿易で、オーストラリアへの進出を願う中国の企業やブランドが増え続けているという新たな変化を目にしている。「こうした傾向は長らく存在しなかった」とのことである。またこの中で取り扱い項目も、以前の食品や飲料、農業、健康食品などから、医療、バイオテクノロジー、サステナブル、エコエネルギーといった分野に拡大しているという。デュガン会長は、これらの分野は一段と突っ込んだ提携ができる重要なものだと述べている。
中国商務省のまとめでは、2023年、オーストラリアとの物品の貿易額は前年比4.1%増の2292億ドル(約36兆円)で、オーストラリアにとって中国は15年連続で最大の貿易相手国となっている。またオーストラリアは、中国への投資が前年より11.7%増え、新たに設立した現地法人の数は前年比40.2%増の635社となっている。中国はオーストラリアにとって輸出、輸入とも最大の国で、国交樹立当初の1972年に1億ドル(約158億円)以下だった両国間の貿易総額は2023年には2300億ドル(36兆円)近くに達している。
中国は、2023年からビザ免除国を積極的に増やしており、現時点でフランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、スイス、アイルランド、ハンガリー、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルクなどが対象となっている。またタイ、シンガポール、マレーシア、ジョージアなどは相互にビザ免除となっている。
(中国経済新聞)