中国を最大の販売先とするイタリアのブランド品会社が上場廃止を発表

2024/06/12 11:30

時価総額14.2億ユーロ(約2395億円)というイタリアの高級ブランド・トッズ(TOD’S)が6月7日、上場廃止を発表した。

シューズの「ゴンミーニ」で知られているTOD’Sは、1980年代にHoganとFayを相次ぎ買収し、2000年にミラノで上場、2003年にはRoger Vivierを買収した。現在はシューズだけでなくバッグやアパレル品も手掛けている。

TOD’Sが先ごろ発表した2023年の決算を見ると、売上高は前年比11.9%増の11.267億ユーロ(約1900億円)、利息・税前利益(EBIT)は同62.7%増の9471万ユーロ(約160億円)、純利益は同116.9%増の5002万ユーロ(約84.4億円)となっている。

世界各地で売上高を伸ばしているTOD’Sは、中でも中国で前年比24.2%増の3.57億ユーロ(約602億円)を売り上げ、全体の31.7%を占める最大の市場となっている。中国への進出は遅めではあったが、TOD’Sにとって今や業績引き上げへの「主戦場」となっている。これについて、タレントの起用が功を奏したものと見られている。

TOD’Sは2021年5月、中国の俳優シャオ・ジャンを宣伝キャラクターとすると発表した。本人がPRしたバッグは発売開始10分間で完売し、Tmallのショップのフォロワー数はこの日に一気に25倍増えて11万人近くに達した。

TOD’Sはこの波に乗って、その後すぐにすべてのSNSでシャオ・ジャンを会社初のグローバルキャラクターとすると発表した上、本人登場の広告を全世界で掲載した。2022年にはシャオ・ジャンとともに「ラバーシリーズTOD’SFORXZ」を打ち出し、1.76万元(約38万円)のハンドバッグは発売後あっという間に売り切れた。

TOD北京専門店

要客研究院の「中国ブランド品報告」によると、2023年の中国のブランド品販売額は2022年から一転して回復の一途をたどり、前年比9%増の1兆420億元(約22.55兆円)と1兆元(約21兆円)の大台を取り戻した。世界に占める消費額の割合は相変わらず38%前後を維持しており、やはり世界的に見て最も重要な市場である。海外ブランドはこぞって中国およびアジア太平洋への取り組みを強化している。

要客研究院によると、中国は今後3-5年間、各ブランドの値引き販売が定着すると見ており、安値でブランド品が買える国となりそうである。2024年の中国のブランド品市場の成長率は、世界の平均にほぼ並ぶ12%前後に達すると予想されている。

(中国経済新聞)