アメリカのメディアThe Informationは、関係者の話として、動画アプリのTikTokが社員に対し、今週に運用とマーケティングに関わるメンバーを対象に大規模な人員削減をすると発表したと伝えた。
削減の人数がどの程度かは不明だが、関係者によると、グローバルユーザーオペレーション、コンテンツ、マーケティングの各部門で合わせて約1000人の大部分が対象という。さらにはユーザーサポート対応やユーザー通信など主力業務を受け持っていたグローバルユーザーチームを解散するとのことである。残された社員は、会社の必要性に応じ、信頼と安全、マーケティング、コンテンツ、製品チームに配置される見込みである。
今回の人員削減は、TikTokからすればかなりの意味がある。TikTokは、2022年や2023年に数千人規模の削減をした他のIT大手とは異なり、今回のような大規模なリストラは過去に例がほとんどなく、業績評価や以前から続いていた小規模な組織再編を通じて社員構成を少しずつ見直していた。
今回のTikTokの決定は、過去にはなかった逆風の中でのものである。アメリカ政府は先月、TikTokが中国の親会社であるバイトダンスとの関係を分離しなければ1年以内にアメリカでの運営を禁止するという法案に署名した。これに対し、TikTokおよび多くのクリエイターが撤回を求めて提訴しており、バイトダンスは「TikTokを売却するつもりはない」と明言している。
TikTokはこれまでもアメリカが禁止令を打ち出した際に現地での雇用者数を強調しており、去年は「現地で7000人を採用している」と表明していた。なお今週に解雇される社員はアメリカ以外の出身者も対象となる。
今回のTikTokの決定で、経営が思わしくない様子が鮮明になった。今年3月、バイトダンスの投資家が「TikTokの去年の赤字額は数10億ドル(数100億円)となる」と予想していると報道された。仮にバイトダンスが売却に踏み切れば、TikTokは一本立ちしなくてはならず、赤字額がさらに膨らむ恐れもある。TikTokは2023年、収入額200億ドル(約3.13兆円)のうちアメリカでの発生分が約80%にあたる160億ドル(約2.50兆円)となっている。
(中国経済新聞)