中国映画界で第15回「金のほうき賞」(Golden broom Award)の各賞受賞対象が発表された。この中で「超能一家人」(The Superpowered Family)は、「最も失望させた映画」に、その監督を務めた宋陽氏が初めて「最も失望させた監督」に選ばれ、過去に何度もノミネートされていた俳優のアイルンがまずい出来で「最も失望させた男優」となるなど、作品として一番の「勝ち組」となった。
「金のほうき賞」は、「青年電影手冊」が主催し、中国映画史上初の批判作品を受賞対象とする年間賞である。今回は前回同様にオンラインでの発表となった。
今回のもう一つの「勝ち組」は、間違いなくラブストーリーの「可不也可以不要离開我」(Could you don’t leave me ?)であった。「最も失望させた映画」3部門の一つを獲得したほか、監督の王子鳴氏、蕭飛氏、宋陽氏に「最も失望させた監督賞」が、主演のジョー・チェンに「最も失望させた女優賞」が贈られた。
郭大雷氏が脚本と監督を務めるラブコメの「倍児喜歓你」(I Like you more)は、「最も失望させた映画」と「最も失望させた脚本」を手にし、主演俳優のジア・ビンはアイルンとの「競り合い」で「惜敗」した。また12年ぶりに復活した「最も失望させたアニメ映画」は「我是哪吒2之英雄帰来」に与えられた。
「超能一家人」(The Superpowered Family)はロシア映画「超能力家庭 Супербобровы」のリメイクであり、主人公の鄭前(アイルン演)が家出から何年も放浪し、APPの「資産運用神器」を開発したが、故郷の喀西契克市で悪賢い市長の乞乞科夫(シェン・タン演)に目を付けられる。そこで鄭前の一家が隕石の落下により超能力を身に着けるが、誰かかいなくなればその超能力も消えてしまう。鄭前は頼り気のない家族と団結して乞乞科夫に対抗する羽目になり、超能力VS金銭能力の爆笑ストーリーが展開する。
「可不可以不要离開我」(Could you don’t leave me ?)は、愛を忘れられずまた出会いを果たすラブストーリーで、それぞれ別の場所に住み、人生のめぐり逢いも別々ながら全員が30代という4組のカップルが登場する。こまごましたことや生活上の問題などトラブルなどに見舞われ、それぞれ選ぶものや進路に違いが生じ始めるが、こうしたトラブルの中で幸せへの道を探り出し、最後には歩み寄っていく。
また「倍児喜歓你」(I Like you more)は、天才料理人でグルメ作りが十八番であるが内向的で気持ちをうまく表現できない宮保(ジア・ビン 演)と、ロックの大ファンで音楽と自由を愛するが安全感や責任感が薄く、約束を守りたがらない範奎恩(リウ・イエン演)が主役である。2人は「腹下し」のトラブルで、あるレストランで出会うが、誤解が原因でけんかになる。ただその争いの中でお互い魅力を見出し、気持ちが芽生えていく。友人や家族の仲立ちもあって、ありえそうにないラブストーリーが始まる。
(中国経済新聞)