アメリカ、またもファーウェイへの半導体供給を制限 PC事業にかなりの痛手

2024/05/13 13:30

5月7日、アメリカ政府がインテルやクアルコムなどに対し、ファーウェイに半導体を供給するための輸出許可を取り消したと報じられた。アメリカ商務省は「一部の許可証を取り消した」と表明したが、会社名は触れなかった。

インテルはファーウェイに対してノートパソコン用の半導体を、クアルコムは同じく携帯電話用の半導体を供給している。2019年からファーウェイへの制裁が実施された後も特別許可により供給を続けていて、輸出額は数10億ドルに達するとみられる。

この特別許可はアメリカでかねてから論議を呼んでいた。ファーウェイは、自社開発したハイシリコン製の5G半導体の出荷が途絶えて以降、クアルコムの4G半導体「スナップドラゴン」を携帯電話用に利用しており、2023年8月のMate60シリーズ以降は半導体について主導権を取り戻していた。

ファーウェイはまた先月、インテルのプロセッサーCore Ultra 9を搭載した新型のノートパソコン「MateBook X Pro」を発表したが、これについてアメリカ共和党の議員が、「ファーウェイに『ゴーサイン』を下した」と批判した。

今回の輸出許可取り消しについて、ファーウェイからすればクアルコムの分よりインテルのPC用半導体を失う方が痛手である。クアルコムについてはMate60シリーズを発表してからとの取引が急減しており、同社の取引先上位10社から外れた。刊行誌の「財経」によると、ファーウェイの携帯電話用半導体の出荷は、最近のPura70シリーズの供給具合から見てほぼ安定しているという。またクアルコムは今でもファーウェイに5G特許を付与しており、2025年度が期限となっているこの特許契約についてすでに延長に向けての協議を進めているという。

ファーウェイはその一方、PC用の半導体については代替品探しが困難である。市場調査会社のCanalysによると、2023年第4四半期のPCプロセッサーのシェアはインテルが78%を占めており、2位のAMDは13%にとどまっている。かねてからインテルの半導体を使っているファーウェイは、リサーチ会社のGfKによると、2023年前半のノートパソコン用半導体の使用割合はインテル品が90.7%に達している。

インテルからすれば、ファーウェイへの供給が止まればかなりの痛手となる。ファーウェイは取引先上位6社には入っていないが成長著しい存在である、Canalysによると、2023年は中国製のデスクトップおよびノートパソコンのシェアが17%も落ちた中、ファーウェイは出荷数量が前年比11%増の398.6万台で、市場シェアは10%で3位であり、上位5社のうちただ一つ前年増を果たした。なお市場シェア1位はレノボで38%、2位はHPで10%である。

中国商務省の報道官は5月8日に取材に対し、「アメリカは国の安全という概念を拡大して経済や貿易の問題を政治化し、輸出規制を乱用して、特定の中国企業を相手に無理な制裁や締め付けを繰り返している。中国は断固として反対だ」と答えた。その上で、「アメリカは民間用の半導体の中国輸出を制限して特定の中国企業への供給を絶っているが、これは典型的な経済的脅迫であり、WTOのルール違反している上にアメリカの企業の利益も損なわれる。こうした行為は『中国のデカップリングは求めない』『中国の成長を抑えない』という約束に反する上に、『国の安全を正確に定める』という主張の逆を行くものだ。中国は、必要な措置をすべて講じた上で企業の正当な権益を断固として維持する」と述べている。

(中国経済新聞)