中国の電気自動車(EV)メーカー「蔚来汽車」(NIO)は、2023年の第4四半期および年間の財政状況を発表し、最新の売上高などが明らかになった。売上高は第4四半期が前年同期比6.5%増の171.032億元(約3563億円)、年間では前年比12.9%増の556.179億元(1.16兆円)であった。ただし経営はおもわしくなく、第4四半期は53.677億元(約1118億円)、年間では前年比43.5%増の207.198億元(約4317億円)の赤字を計上している。
蔚来は相変わらず研究開発への投資額が高く、2023年は前年比23.9%増の134.314億元(約2798億円)であり、技術革新に取り組み続けていることが分かる。しかし粗利率は落ち込んでおり、自動車部門では2022年の13.7%から9.5%に、トータルでも10.4%から5.5%にダウンしている。
このような赤字や苦しい資金繰りについて、会長でCEOである李斌(Li Bin)氏は、「値下げして価格戦に加わったりせず、粗利率の向上に努める」と述べている。販売台数が思うように伸びず、月次で見ると2万台に乗ったこともあったが、ほとんど1万台余りで推移している。
蔚来の会長でCEOである李斌(Li Bin)氏
販売増と競争力強化に向けて、間もなく発売する第2のブランド「アルプス」に期待が集まる。2023年第2四半期にブランド名と初めての車種が正式発表され、10月以降に本格的な引き渡しが始まる見込みである。「アルプス」はテスラのModel Yをにらんだ車種であり、大人数世帯向けのSUVも打ち出し、パートナー会社と共同で電池交換の体制を整える予定である。李氏は「アルプス」について、コストがテスラのModel Yより10%安く、セールスアップに向けて2023年中に販売店を200か所とすると述べている。
蔚来はまた2025年に、10万元台(300万円前後)のクラスで3種目となる「蛍」を発表する予定である。李氏は、「2024年は効率アップと地方都市での取り組みに力を入れ、特に販売増に向けて電池の充電交換設備を活用する」と強調した。現在は海外事業も徐々に展開しており、すでに進出しているヨーロッパ5か国できめ細かい運営をするほか、UAEに進出して価格帯を広げ、マーケットニーズに広く応えていくという。
(中国経済新聞)