湖北省の元長者番付トップで、902日間にわたり身柄拘束で自由を奪われていた蘭世立氏が10月24日、広東省広州市の人民検察院より「刑事賠償決定書」を渡された。
これによると、2021年12月17日、広州市中級人民裁判所で蘭氏に対して下された契約詐欺罪について、証拠不十分のため成立せず無罪とするとの判決が下され、同年12月20日に釈放された。また、広州市検察院の規定により蘭氏に対して合計59万元(約1210万円)の賠償金を支払い、名誉棄損の回復のため口頭で蘭氏に謝罪することとの決定が下された。
蘭氏は以前、ビジネス界を賑わせた人物であり、デジタル関連業、飲食業、不動産業などを起こしていた。中でも知られているのは2005年の東星航空の起業であり、蘭氏はこの年の資産額が24億元(約492億円)で湖北省の長者番付トップに立ち、「中国航空業界の第一人者」と言われた。
蘭氏の述懐によると、2013年にタイで航空会社エア・サイアムを設立して事業を急速に伸ばし、のちにオリエント・タイ航空を買収しようとした。その準備を進めた中で中国の「李氏三兄弟」という3人と知り合ったが、この3人が後に蘭氏を「つまはじき」にしようとし、蘭氏が契約で詐欺行為を働いたと公安機関に通報した、という。
広州市の警察は、通報を受け蘭氏を逮捕した理由について、「2015年3月、個人商人である李氏に対し、エア・サイアムの株式を全額所有しているなどと虚偽を語って共同でオリエント・タイの株式を購入した後、李氏が3.5億元(約71.8億円)で購入した株式とこれに関連した資金を横領した。さらに、警察が自宅監視など強制措置を講じている間に海外逃亡を企て、複数の国を経由してシンガポールに渡った」としている。
そして2016年8月3日、広州市検察院が契約詐欺罪で蘭氏に逮捕状を発令し、同年9月に国際警察組織(ICPO)が赤色手配書を発表して、公安部が特別指名手配した。蘭氏は2019年11月に逮捕され、2021年12月20日に無罪を宣告され釈放された。そしてその翌日の12月21日、中国検察機関に賠償申請書を差し出していた。
(中国経済新聞)