中国の安全機関がアメリカのスパイ事件を公表

2023/10/25 08:30

中国の国家安全機関が2021年にアメリカで発生したスパイ事件を公表した。この年7月23日に四川省の国家安全機関が、中国人の訪米留学者に接近して重大なスパイ行為を働いたアメリカの情報機関を摘発した。アメリカから中国の大手国防企業に情報員として潜伏した侯容疑者を割り出し、危険を防いだというものである。侯容疑者は現在、身柄を成都市中級人民裁判所に送られて審議を受けている。

中国のある国防企業で機密事項に携わっていた侯容疑者は、2013年に公費でアメリカに留学した。現地のある教授によると、侯容疑者はコンサルティング会社の社員と称していたが、情報工作員の「ヤコブ」の知り合いとなったという。「ヤコブ」は現地でしばしば侯容疑者とともに高級料理を食べたり、ストリップショーを見たり、球技を見たり、CNN本社を見学するなど、付き合いを重ねて関係が親しくなった。2人の話題は家族や趣味から次第に研究課題へと変わり、「ビジネスコンサルティング」などという契約も取り交わした。この年7月、侯容疑者の妻が訪米した際に、「ヤコブ」はなりすましをせず、侯容疑者に質問をする形で機密情報を集め、報酬を払うなどして洗脳していった。

侯容疑者は帰国後、アメリカの情報機関から足を洗うことも出来た中で、引き続き「ヤコブ」と連絡を取り合い、さらには海外出張の機会を生かして個別にアメリカのスパイに会い、中国当局に逮捕されるまで情報を提供し報酬を得ていたという。

調査の結果、侯容疑者は中国の国防関連の情報について、極秘レベル2件、機密レベル3件、秘密レベル6件をアメリカに提供していた。2021年7月に刑事措置が講じられ、今は成都市の中級人民裁判所に身柄を送られており、さらに審議を受けている。

(中国経済新聞)