広東省東莞市、ノーベル賞を獲得し住宅を買えば2億円支給

2023/09/23 17:30

広東省東莞市の人力資源・社会保障局がこのほど、特色ある人材への住宅補助金、生活補助、人材誘致手当、創業貸付利息の申告受付を始めたと発表した。

この中で、特に注目されるのは「特級人材」の住宅購入補助金であり、これまでの250万元(約5080万円)から1000万元(約2.03億円)に増えた。それ以外のレベルでも大幅に引き上げられている。

特級人材とは、ノーベル賞獲得者、中国国家最高科学技術進歩賞受賞者、中国、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、日本、カナダなどの科学院や工程院のアカデミー、世界の著名大学の学長(およびその経験者)、チューリング賞獲得者、フィールズ賞獲得者、中国政府「友誼賞」受賞者、フォーチュングローバル500の本社最高経営責任者、最高技術責任者、技術開発責任者などである。

さらに特級人材はこれら技術関係者だけでなく、文化やスポーツ界も対象としている。世界的な音楽楽団の首席指揮者、アートディレクター、首席演奏家、過去5年間にオリンピック選手を育成した指導者などである。

東莞市はまた、特色ある人材を特級以下、1類から4類に分けており、住宅購入時における補助金の支給額を、1類は200万元(約4064万円)から600万元(約1.22億円)へ、2類は150万元(約3048万円)から400万元(約8128万円)へ、3類は100万元(約2032万円)から200万元(約4064万円)へ、4類は30万元(約610万円)から100万元(約2032万円)へと引き上げた。

東莞市は、広州市から深セン市に至る経済回廊の中ほどにあり、広州市の中心部まで北西へ59キロメートル、また深セン市中心部まで南東へ99キロメートル、香港の中心部まで140キロメートルである。データを見ると2022年のGDPは 1兆1200.32億元(22.76兆円)で、成長率は広東省内では下位の0.6%にとどまっている。また今年上半期は5262.10億元(10.69兆円)で、成長率は中国全土で計24カ所あるGDP1兆元都市の中で最下位の1.5%であった。

かねてから「世界の工場」と言われていた東莞は、製造業の割合が高いが、知的財産権が少なく対外依存度が大きく、世界的な産業分類の中でハイレベルには属しない。人的資源、土地、エネルギーなどでコストメリットが薄れつつある中、製造業も思うように構造改革が進んでいない。

(中国経済新聞)