9月12日午前、アリババ・グループの新CEOである呉永銘(エディー・ウー)氏は、全従業員に宛てた手紙を発表し、アリババの今後の戦略的重点と行動指針を明らかにした。
呉氏は手紙の中で、顧客第1とAI主導の確立という2つの戦略的重点を発表した。呉氏によると、アリババ・グループは、この2つの戦略的重点に基づき、第1にテクノロジー主導のインターネット・プラットフォーム・ビジネス、第2に、AI主導の科学技術ビジネス、第3に、グローバル・ビジネス・ネットワークという3つのタイプのビジネスへの戦略的投資を増やすなど事業戦略の優先順位の再構築を行う。
呉氏は手紙の中で「全てのビジネスの基本は顧客の価値と顧客の維持です。競争関係にある企業を含め、各企業は率先して顧客第1の観点から可能な限り幅広い開放と協力を求めるべきであり、同時にアリババは、市場志向の原則に則り企業間協力を基礎とする戦略的連携に影響を与えることはありません。また次の10年でAIにより業界全体に大きな変化が起こるでしょう。この次の10年も、変わらずサービスが提供できるようAI時代に臨まなければなりません。もしAI時代の変化についていくことが出来なければ、間違いなく私たちに取って代わる新しい企業が現れてしまうでしょう」と述べた。
呉氏は手紙の最後に、「アリババが今後5年間におけるトレンドを見極め、事前に戦略的な投資と製品イノベーションを行うことを望んでいます。同時に、経営陣の若返りに対する明確な要求と目標を打ち出し、4年以内に85後(1985年~1989年までに生まれた世代)、90後(1990年~1999年に生まれた世代)を主軸とした経営陣の刷新を行います。これにより、より多くの若者が主力となり会社環境を作り上げていくべきだと考えています」と述べた。
呉永銘氏は、1996年に浙江工業大学のコンピュータ科を卒業。その後、中国黄頁(The Chinese yellow pages)に入社し、1999年、馬雲(ジャック・マー)氏とともに杭州へ戻りアリババを設立。「十八羅漢」と呼ばれるアリババ創業期からの中核メンバーの1人として知られる。2003年にアリババは「淘宝(タオバオ)」を立ち上げ、呉氏はマー氏に任命された7人の将軍の一人となり、2004年にはアリペイが設立され、その技術責任者となった。2008年、タオバオとアリババが合併した4日後に副社長に就任。2015年4月から2020年3月まで阿里健康(Ali Health)の取締役会長を務め、2023年9月10日に、アリババ・ホールディング・グループのCEOに就任した。
(中国経済新聞)