中国政府は12月26日夜、新型コロナウイルス対策として実施してきた水際規制を大幅に緩和し、海外からの入国者に義務づけていた隔離措置を来年1月8日から完全に撤廃すると発表した。
中国国家衛生健康委員会は新型コロナウイルス感染症の管理対策の分類について、現在の最も厳格な部類から1段階引き下げると発表。コロナの病原性が弱まり、徐々に一般的な呼吸器感染症に変化する見通しであるためとした。
中国の感染症の分類は、重篤度の高い順に甲類、乙類、丙類とあり、新型コロナ感染症は20年1月から乙類に指定されているが、ペストやコレラを含む甲類並みの管理が必要とされてきた。これを乙類に引き下げる。2020年以来厳しい入国制限が敷かれてきたが、緩和に動き始めた。
現在は海外から入国した場合、5日間の集中隔離と3日間の自宅隔離が義務づけられている。
今回の発表は、新型コロナの感染症としての位置づけを下げることに伴う措置で、これにより中国入国前48時間以内のPCR検査で陰性であれば入国できるようになり、隔離だけでなく、入国後のPCR検査も不要となった。コロナ対策として各航空会社に課していた国際線の便数制限も撤回する。中国人の海外旅行にも段階的に回復させていくという。
しかし、新型コロナの流行は全国に急速に広がっている。人口6540万人の浙江省では新規感染者が毎日100万人近くになり、元日の頃には200万人になる見通しだと発表している。
中国政府が感染者数の公表を中止すると発表したため、国際社会は中国での感染拡大の実態を把握することができなくなっている。在中国米国大使館と日本大使館が人道支援以外のビザ手続きを中止しており、韓国疾病管理庁も16日から中国を「標的(ターゲット)検疫」の対象国に追加している。
日本のSNSでは中国の旧正月「春節」(1月22日)前後に増える来日観光客を警戒する声が多数ある。
玉木雄一郎・国民民主党代表は、26日、自身のTwitterを更新、「適切な情報開示がなければ、春節の前に中国からの入国は制限せざるを得ないのではないか。2年の時を経てコロナ対策が振り出しに戻るようなことになれば悪夢だ」と投稿している。2020年の春節当時、日本は中国からの入国を規制しておらず、それが日本国内で新型コロナウイルス感染を拡大させたとする説を受けてのコメントのようだ。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は21日の記者会見で、新型コロナウイルスの徹底的な封じ込めを図る「ゼロコロナ」政策が破綻した中国で「重症者が増えているという報告について非常に懸念している」と述べ、重症化率や入院率、集中治療の必要性などの詳細な情報の提供を求めた。
(中国経済新聞)