11月6日夜、第31回中国電視(テレビ)金鷹賞(China TV Golden Eagle Award)の授賞式が開催され、テレビドラマ『人世間(A Lifelong Journey)』で主役を演じた雷佳音(レイ・ジャーイン)が最優秀男優賞を、殷桃(イン・タオ)が最優秀女優賞を受賞した。また、『人世間』でメガホンを取った李路(リー・ルー)監督が最優秀監督賞を受賞した。中国の映画・テレビ界で、同じ作品から主演男優賞と主演女優賞の両方を受賞するのは大変珍しい。
『人世間』は2022年中国で最も人気のあるテレビドラマで、2月の旧正月に中国中央電視台(CCTV)で放送が開始されると瞬く間に話題となった。
このドラマ(全58話)は、中国の作家梁暁声の同名小説を原作とし、中国東北地方の陋巷「光字片」を舞台に、長男の周秉義(ジョウ・ビンイ)、長女の周蓉(ジョウ・ロン)、次男の周秉昆(ジョウ・ビンクン)を含めた12人の50年に渡る激動の人生を描いている。
物語は1960年代後半、周三兄妹の父・周志剛(ジョウ・ジガン)が陸軍の工場建設に参加するため、一人家を出て西南へ送られるところから始まる。長男の周秉義(ジョウ・ビンイ)は国の呼びかけに応じ、農村に行く青年たちの第一陣となり、長女の周蓉(ジョウ・ロン)は詩人の夫に伴って貴州の田舎へ、次男の周秉昆(ジョウ・ビンクン)と母だけが家に残されることになった。その後50年間、周一家の運命は時代の変化と絡み合いながら進んでいく。周秉義(ジョウ・ビンイ)は、大学卒業後に政界入りし、大改革の中で市長になったが、キャリアの浮き沈みも経験した。周蓉(ジョウ・ロン)は博士号を取り、学校に残って教えていたが、彼女の恋愛は不遇続きであった。周秉昆(ジョウ・ビンクン)と美しくも不幸な女性の鄭娟は、周りの人達に支えられながら、解雇という苦しみを超えて、商売に挑戦する。
このドラマが高視聴率を記録している背景には、「文化大革命」後期から改革開放までの半世紀における3世代の異なる中国人の運命描かれていることが挙げられる。多くの人が、ドラマの人物と自分の人生を重ね合わせながら、自分の歩んだ道を思い出している。
『人世間』の鄭娟役で主演女優賞を受賞した殷桃(イン・タオ)は、1979年12月に重慶で生まれ、人民解放軍国防大学軍事文化学院を卒業している。2002年、舞台『天国で君を待っている(原題:我在天堂等你)』で第5回金獅賞を受賞。2006年、血の繋がらない父と娘の絆を描いたヒューマンドラマ『歌声天高く~父と過ごした日々(原題:搭錯車)』で金鷹賞(最優秀女優賞)を受賞している。殷桃(イン・タオ)は、今回16年ぶり2度目の金鷹賞受賞を果たした。
主演男優賞を受賞した雷佳音(レイ・ジャーイン)は、1983年に遼寧省鞍山市で生まれ、上海戯劇学院の演技科を卒業している。2017年、アクション時代劇映画『修羅:黒衣の反逆(原題:繍春刀II:修羅戦場)』で第54回台湾映画金馬奨・最優秀助演男優賞を受賞。 2018年、ドラマ『The First Half of My Life(原題:我的前半生)』で第24回上海テレビフェスティバル(上海電視節)白玉蘭最優秀主演男優賞を受賞している。2019年には、サスペンス・アクション時代劇『長安二十四時』に主演し、第24回韓国釜山映画祭アジアコンテンツアワードで最優秀男優賞を受賞している。
彼は、受賞スピーチで「この賞は、私たち周一家、そして「光字片」に贈られたものです。17年間、テレビドラマに出演し、舞台上でも舞台裏でも友人達に支えられ、このような栄誉ある賞をいただくことができました。私も無駄に人の世(人世間)に来たのではないようです」と締めくくった。
(中国経済新聞)