自動車市場の競争が激化する中、自動車メーカーの広告宣伝活動が日に日に増しており、注意を怠ると広告法に抵触する恐れが出てきている。
吉利汽車(Geely Automobile)の販売を手掛ける浙江省寧波杭州湾新区吉利汽車銷售有限公司(Hangzhou Geely Bay Automobile Sales Co., Ltd. 以下、吉利汽車銷售公司)が同社の広告に「国家級」「最高級」「最良」などの言葉を使用したとして、寧波市市場監督管理局から60万元(約1222万円)の罰金を科せられた。
「中華人民共和国広告法」第9条第3項により、広告に「国家級」「最高級」「最良」という言葉を使用してはならないとされている。また、違反した場合は、市場監督管理部門が広告の掲載停止を命じ、広告主に対して20万元(約400万円)以上100万元(約2000万円)以下の罰金を科す。状況が深刻な場合は営業許可を取り消すとされており、広告審査機関は広告審査承認書類を取り消し、1年間広告審査申請を受け付けないとしている。
実は、吉利汽車が広告法違反で罰金を科されたのは、これが初めてではない。今年5月12日、広告主である吉利汽車銷售公司は、同社のWeChat公式アカウント「吉利汽車」において、グラフ、動画、メディアの紹介などを使って、同社のハイブリッド車とホンダやトヨタのハイブリッド車との比較を行い、その内容を公開した。
これに対し、杭州市高新区(濱江)市場監督管理局は、吉利汽車銷售公司が広告を利用して他の生産者や事業者の商品を貶める行為に該当すると認定し、広告の掲載中止と1万元(約20万円)の罰金を命じた。
自社製品をより良く見せるため、広告法に違反する「最」という言葉を使用することは、もはや自動車メーカーの間でよく見かける光景となっている。
2020年7月、テスラの中国法人「特斯拉汽車(北京)有限公司(Tesla Motors (Beijing) Co., Ltd.)」(以下、テスラ)もこの理由で北京市朝陽区市場監督管理局から処分を受けた。同社は2019年4月26日から公式アカウントで「テスラが持つ『最強』の脳」というプロモーション広告を公開し、5万元(約100万円)の罰金が科せられた。
2018年11月、低速EVメーカーの雷丁汽車(山東雷丁新能源汽車有限公司 Shandong Levdeo New Energy Automobile Co., Ltd.)は、販売店のパンフレットに「雷丁汽車は中国 『最大』のEV生産工場を持ち、中国『最高峰』の製造技術を有する」という表現があったとして、南陽市唐河県市場監督管理局から80万元(約1600万円)の罰金を科せられた。
(中国経済新聞)