中国発「ホテル型テント」が海外で人気 アウトドア用品輸出に新たな成長の波

2026/10/6 08:30

ソファやカーペット、大型ベッドを備え、エアコンや床暖房で室温を調整できる。シャワーやトイレ、キッチンまで完備し、製造から設置までわずか3カ月。完成後はそのまま「入居」できる――。

一見するとホテルの客室のようだが、実はこれ、テントである。

近年、世界的にグランピングやアウトドアリゾートの人気が高まるなか、中国企業が開発した「ホテル型テント」やモジュール式テントハウスが海外市場で存在感を高めている。革新的なデザインと高い品質、そして短納期を武器に、中国製アウトドア用品の輸出が新たな成長分野となっている。

年30%近い伸び、ホテル型テントの海外需要が拡大

江蘇省常州市のあるアウトドア用品メーカーでは、ホテルのような快適性を備えた高級テントを展開している。

製品にはバルコニー、リビング、書斎に加え、独立した寝室やバスルームまで設けられている。従来のキャンプ用テントとは異なり、自然の中にいながらホテル並みの快適な滞在を楽しめることが特徴だ。

世界的にアウトドアレジャーやリゾート需要が拡大するなか、海外のキャンプ場からの引き合いも増えている。

同社の責任者によると、5~6月の時点ですでに注文は11月分まで埋まっており、受注は毎年30%近いペースで増えているという。

「モジュール式」で海外市場を開拓 16カ国・地域に輸出

四川省都江堰市では、「モジュール式テントハウス」を海外に輸出する企業も登場している。

同社の製品は、窓やドア、各部屋などを分割して梱包し、海外へ輸送する。現地では簡単な組み立て作業だけで設置できるため、従来の建築方式に比べて工期を大幅に短縮できる。

海外では建物の建設に時間がかかるうえ、人件費も高い。こうした市場環境に対し、中国企業は製品の差別化と迅速な納品を強みとしている。

さらに、気候や地形など現地の条件に合わせたカスタマイズにも対応する。例えば「星空ルーム」では100%遮光を実現し、外部からの光を遮断することで、利用者の睡眠環境を向上させる設計を取り入れている。

同社の海外事業による売上高は年間2000万元余りに達し、製品はすでに16カ国・地域へ輸出されている。

3分で設営完了 電動エアテントで「キャンプのハードル」を低く。海外消費者のニーズの変化を受け、中国のテントメーカーは製品の進化も加速させている。江蘇省蘇州市の企業が開発したのは、一体型の電動エアテントだ。

重量はわずか7~8キロ程度。スイッチを押すだけで自動的に空気が入り、3分以内に設営が完了する。従来のテントのような複雑なパーツの組み立てが必要ないため、キャンプ初心者でも簡単に利用できる。

さらに、設営方法だけでなく、テントの「使い方」にも新たな発想が取り入れられている。複数のテントを組み合わせることで、さまざまなアウトドアシーンに対応できる仕組みだ。休暇やレジャーにはリビング用テント、宿泊時には寝室用テントというように、用途に応じて自由に組み合わせられる。

アウトドア用品全体で輸出拡大 注文が2027年まで埋まる企業も。中国のアウトドア用品の輸出拡大は、テントだけにとどまらない。浙江省武義県のあるメーカーでは、折り畳み式の屋外用サンシェードを生産している。製品には太陽光発電による照明や、強風に耐える補強構造などを組み込んでいる。

太陽光パネル1枚で十数平方メートルの範囲を照らすことができるため、利用者は別途キャンプ用ランタンや照明器具を購入する必要がない。同社の受注は現在50万セットに達し、生産は2027年1月分まで埋まっている。1日の生産量も従来の約3000セットから約4000セットへと増加した。同社はここ2年間、アウトドア用サンシェード分野への研究開発投資を強化。その結果、輸出額は2015年の500万元余りから、今年上半期には1億6000万元まで拡大した。

浙江省紹興市でも、アウトドア需要を取り込む動きが広がっている。ある企業はグランピング市場をターゲットに、マットレスやビーチマット、ラグなどの商品ラインアップを拡充。単品販売だけでなく、複数の商品を一つのセットにまとめて提供することで、消費者の多様なニーズに対応している。同社の注文もすでに翌年6月分まで入っているという。

「OEM」から「中国発のブランド」へ

中国のアウトドア用品メーカーの成長を支えているのは、単なる生産能力だけではない。これまで中国企業の多くは、海外ブランドから製造を請け負うOEM型のビジネスが中心だった。しかし現在は、自社で研究開発を行い、独自ブランドを立ち上げる企業が増えている。

海外の消費者の生活習慣や使用シーンを研究し、それに合わせて製品を設計する。さらに、従来の需要に応えるだけでなく、新しい使い方やライフスタイルそのものを提案することで、市場を開拓している。

グランピングやアウトドアリゾートの世界的な人気を追い風に、中国のアウトドア用品産業は「代工(OEM)」から「智造(スマート製造・高付加価値製造)」へと転換しつつある。

ホテルの快適性を備えたテント、3分で設営できる電動エアテント、太陽光発電機能を搭載したサンシェード――。こうした製品に象徴されるように、中国企業は「安く大量に作る」だけではなく、デザイン、機能性、カスタマイズ、納期の速さを組み合わせることで海外市場での競争力を高めている。

アウトドア需要の世界的な拡大を背景に、中国発のキャンプ・レジャー用品は、今後も海外市場で存在感を一段と高めていきそうだ。

(中国経済新聞)