家政ロボットはどこまで進化? 「学び続ける」人型ロボット、家事の実力を競う

2026/08/18 09:45

北京で8月22日に開幕する第2回世界人型ロボット大会を前に、家事や生活に関わる作業を想定した「シーン競技」の予選が8月16日から始まった。会場では、物品の整理や衣類の折りたたみなど、これまで人が担ってきた作業に人型ロボットが取り組んでいる。

今回の競技では、単に決められた動作を正確に再現するだけでなく、実際の生活環境に近い複雑な状況で、ロボットがどこまで自律的に判断し、作業を継続できるかが試されている。

衣類の整理で「生涯学習」を実践

国家速滑館(国立スピードスケート館)に設置された人型ロボット産業エコシステム訓練・評価基地では、参加チーム向けに実際の競技を想定した環境が整備されている。

複数の人型ロボットに対し、書類のファクス送信や物品の仕分け、衣類の折りたたみ・収納など、生活や仕事に関連する作業の訓練が繰り返し行われている。

例えば、ロボットに衣類をたたませるため、あるチームはロボットの頭部と手に高精細のモーションカメラを搭載。データ収集担当者とロボットが連携し、作業中の画像や物品の情報、動作データなどを繰り返し収集している。集めたデータは大規模モデルの学習に利用され、システムの継続的な改善につなげられている。

あるロボット企業の共同創業者、張直政氏によると、同社ではインターネット上のデータ、人間の動作データ、異なるロボット本体を使ったシミュレーション生成データ、遠隔操作データ、実環境でのテストから得られるフィードバックデータという5種類のデータを組み合わせているという。

ロボットは長時間稼働すると、関節などの部品が徐々に摩耗する。こうした本体の変化にも対応し、安定した作業能力を維持するには、ソフトウェア側がロボットの状態に合わせて動作を調整する必要がある。

張氏は、ロボットが作業をしながら動作を調整し、継続的に学習・進化できる「生涯学習」の仕組みを開発していると説明。「使い続けることで、よりうまく作業できるようになる」としている。

30分で複数の家事をこなせるか

家庭生活を想定した競技では、人型ロボットが30分以内に物品の収納や衣類の整理など複数の作業を順番にこなす。

評価されるのは、手と目、頭脳を連携させる能力だけではない。長時間にわたって連続して作業する能力、複数のタスクを自律的に計画する能力、作業を順序立てて完了させる能力なども評価対象となる。

こうした競技で蓄積されるデータは、今後、家政ロボットの性能を評価するための業界標準を策定する際にも参考になるとみられている。

「片手で持てる」軽量ロボットも登場

福建省の人型ロボット・イノベーションセンターからは、同省唯一の代表チームが今回の大会の複数のシーン競技に参加している。

同チームのロボット「福智」は、3Dプリント技術を活用した軽量設計が特徴だ。重量は一般的な人型ロボットの関節2つ分ほどで、片手で簡単に持ち上げられるという。

高強度のエンジニアリングプラスチックを使用し、構造を最適化することで、機体の剛性を維持しながら重量を大幅に軽減した。これにより、消費電力を抑えるだけでなく、車輪式の移動機構の運動性能や航続能力の向上にもつなげている。

この軽量化設計を提案したのは、チームに参加する台湾出身の若手AIエンジニアだ。福建人型ロボット・イノベーションセンターの林琦氏は、台湾の精密機械・電子分野の技術と、中国本土が持つ豊富な実証シーンのデータを組み合わせ、両岸の若者による共同開発を進めていると説明する。

実際の生活環境で「経験」を蓄積

シーン競技では、複雑で変化する環境にロボットがどの程度適応できるかも重要になる。

「福智」の自律判断や細かな操作能力を高めるため、チームは複数の具身知能データ収集・訓練拠点を設置。福州市内では、地下鉄駅など実際の環境を利用したテストも継続的に行い、ロボットにさまざまな作業経験を蓄積させている。

林氏は、今回の国際大会を通じて国内外のチームから技術や経験を学び、それを福建での開発に生かしたいと話している。さらに、製品の技術改良を進め、人型ロボットをさまざまな産業で活用することにつなげたいとしている。

今回の競技から見えてくるのは、人型ロボットが単に「決められた動作を繰り返す機械」から、実際の環境でデータを集め、自ら学習しながら作業能力を高める存在へと進化しつつある姿だ。家事や介護、物流などへの応用に向けて、今後はロボットの動作性能だけでなく、長時間の安定稼働や自律判断、実環境への適応能力が重要な評価基準になりそうだ。

(中国経済新聞)