「受注2兆3000億円超、2030年まで生産枠確保」 広船国際、高級船舶で世界市場を開拓

2026/08/13 11:00

世界の造船業が高級化、グリーン化、スマート化へと進む中、中国船舶集団傘下の広船国際有限公司(広船国際)は、高級船舶の製造拠点として存在感を高めている。

広東省広州市南沙区に拠点を置く同社は、一時は厳しい経営環境に直面したものの、製品構造の転換や技術革新を進め、現在では手持ち受注額が1000億元(約2兆3000億円)を突破し、生産計画は2030年まで埋まっている。その歩みは、中国の高級製造業が構造改革と技術革新によって競争力を高めてきたことを示している。

広船国際は1954年に設立され、1914年創設の「広南船廠」を前身とする。1993年には、中国で初めて造船を主力事業として上場した企業となった。

2008年の世界金融危機を境に造船業界が大幅な調整局面に入ると、同社も転換を迫られた。旧荔湾工場は敷地や岸線、設備能力などの制約から大型・高級船舶への対応が難しくなっていたため、同社は龍穴造船基地との統合や工場移転を進め、広州市中心部から南沙の先進製造業集積地へと生産拠点を移した。

しかし、移転直後から業績が伸びたわけではない。新旧生産体制の融合、人材流出、経営管理体制の再構築、製品構成の転換などが重なり、一時は厳しい状況に陥った。同社マーケティング担当者によると、当時は「旧工場+新工場が、1+1<1」になるような状態だったという。

そこで同社は、製品の高級化と市場の転換を軸に事業改革を進めた。中・高級船舶の開発によって市場を開拓するとともに、経営効率を高め、関連企業との連携を強化した。

その成果は近年、明確な数字となって表れている。広船国際は現在、タンカー、コンテナ船、ロールオン・ロールオフ船(RORO船)、高級客船、半潜水式重量物運搬船、極地船など、「3優3特」と呼ばれる製品群を形成し、複数の細分化された市場で世界トップクラスの競争力を持つ。

2025年の売上高は202億元(約4646億円)に達し、手持ち受注額は1000億元(約2兆3000億円)を突破。受注の9割以上が海外向けで、生産計画は2030年まで埋まっている。2026年上半期も売上高、利益、受注、工業生産額、船舶引き渡しなど主要指標が前年同期の過去最高を更新した。

造船業の競争は、もはや造船所単体の生産能力だけでは決まらない。設計、組み立て、動力、素材、設備、デジタル技術、環境技術などを組み合わせた総合力が問われている。広船国際が事業を立て直した背景にも、高級船舶に重点を置いた製品戦略がある。

同社は、従来から強みを持つ船種を高級化する一方、液化天然ガス(LNG)燃料船や自動車運搬船など、新たな市場にも積極的に進出している。

特に半潜水式重量物運搬船と客船は同社を代表する製品となっている。半潜水船では世界有数のシェアを持ち、客船分野では大型輸出向け客船の自主開発・設計・建造を実現。内装や主要部品の国産化も進め、高級船舶の自給能力を高めている。

中国の新エネルギー車輸出の拡大も、新たな成長機会となった。同社は自動車運搬船市場にいち早く参入し、研究機関と共同でLNGとディーゼルの二重燃料に対応した次世代自動車運搬船を開発。大型化・低炭素化を進め、1万台規模の自動車を輸送できる大型船へと製品ラインを広げている。

高級化を支えているのが、船舶関連設備の国産化だ。これまで客船や半潜水船などでは、重要設備や部材を海外に依存するケースも多く、調達コストや納期、アフターサービスなどが課題となっていた。同社は研究機関や国内サプライヤーと連携し、主要設備の国産化を進めることで、コスト削減と供給安定化を図っている。

同時に、スマート製造も生産効率向上の重要な柱となっている。同社は「第15次五カ年計画(2026~2030年)」に向けたスマート製造計画を策定し、5Gを活用したスマート工場のデジタル基盤を構築。スマート生産ラインやロボット自動化設備を導入し、生産管理のデジタル化、スマート化、精密化を進めている。

その効果も表れており、2026年上半期に引き渡した19隻はすべて予定より早く完成し、累計で3708日間の前倒しを実現した。

自主開発、設備の国産化、製品革新、スマート製造――。広船国際はこうした取り組みを組み合わせ、受注、研究開発、コスト管理、生産・納期管理を一体化した成長モデルを構築しつつある。

今後は、龍穴造船基地を本拠地とし、小虎島基地と中山広新基地を連携させる「一体両翼」の生産体制を整備し、製造能力と製品ラインアップをさらに拡大する方針だ。

高級船舶、グリーン船舶、スマート船舶を成長の柱に据え、中国国内から世界市場へ――。広船国際は、広東省を起点に世界に展開する船舶・海洋エンジニアリング装備の一大製造拠点を目指している。

(中国経済新聞)