中国では2026年度の入学シーズンを迎え、職業教育への関心が高まっている。人工知能(AI)やハイエンド製造、新エネルギー、医療・ヘルスケアなど新興産業に対応した学科を中心に志願者が増加しており、「進学の受け皿」という従来のイメージから、「高度技能人材を育成する教育機関」へと存在感を高めている。
こうした動きを後押しする形で、中国教育部はこのほど2026年版「職業教育専攻目録」の改訂を完了し、高等職業教育と職業学部を対象に27の新専攻を追加した。新産業や新業態に対応する人材育成を一段と強化する狙いだ。
浙江省の温州技師学院では、今年の新入生が2,558人となり、開校以来最多を更新した。中学校卒業者向け課程では、地元普通高校の合格ラインを187点上回る成績の学生も入学しており、優秀な生徒が職業教育を選択するケースが増えている。
特に人気を集めているのは、AI応用、産業用ロボット、スマート溶接などを含む「スマート製造・人工知能」分野で、地元のハイエンド製造業との結び付きが強く、企業からの採用ニーズも高いという。

河南医薬健康技師学院でも、春・秋の入学相談件数が前年同期比45%増加した。医療・介護関連に加え、ドローン応用技術や新エネルギー車の検査・整備など、成長産業に直結する専攻への志願者が増えている。
全国でも職業学校人気は広がっている。北京市では複数の職業高校で事前募集が定員を上回り、保護者が早朝から受付に並ぶ光景も見られた。広州市で実施された「3+4」(中等職業教育から学部課程への一貫教育)試行プログラムでは、募集40人に対し6,366人が応募するなど、高い人気を集めた。
専門家は、こうした「職業教育ブーム」の背景には、中国産業の高度化があると指摘する。製造業のスマート化・高度化・グリーン化が進む中、AI、次世代情報技術、高度製造、新エネルギー分野では技能人材不足が深刻化しており、企業は熟練技術者の確保を急いでいる。
温州技師学院によると、2025年度卒業生の就職率は99.2%、地元就職率は91.7%だった。平均初任給は5,008元(約10万3,000円)で、高級技工や上級技師では月給7,000元(約14万4,000円)を超えるケースも多く、一部の一般的な大学卒業生を上回る水準となっている。
こうした産業ニーズに対応するため、各地の教育機関も学科再編を進めている。温州技師学院ではAIや産業用インターネット、スマート溶接などの専攻を新設し、河南医薬健康技師学院では薬膳・食療、眼視光技術、医療機器製造・保守、新エネルギー車整備など地域産業に密着した専攻を拡充している。
さらに教育部は、新たに追加した27専攻の中で、人型ロボット工学技術、コネクテッドカー通信技術、蓄電設備スマート運用技術、水素エネルギー工学技術などを新設した。ロボット、AI、グリーンエネルギーといった戦略分野で不足する高度技能人材の育成を加速する方針だ。
一方で、専門家は課題も指摘する。学科名の刷新が進む一方、カリキュラムや実習設備、教員体制が十分に整っていない学校もあり、教育内容と産業ニーズとの間には依然としてギャップが残るという。
(中国経済新聞)
