DJIドローン、エベレストで新記録 標高8,861メートル飛行と氷河3D測量に成功

2026/07/13 13:30

中国のドローンメーカーDJI(大疆創新)はこのほど、エベレスト(珠峰)で実施された総合科学調査の成果を公開し、複数のドローンを活用して超高標高環境での観測・輸送・測量を実施したと発表した。標高8,861メートルへの飛行や、クンブ氷河(Khumbu Glacier)核心部のセンチメートル級3Dモデリングなど、業界初となる成果を達成した。

今回の調査はエベレスト北坡(中国側)と南坡(ネパール側)の2ルートで行われた。北坡では大気環境観測を目的に、垂直離着陸型輸送ドローン「EV50」を投入。マルチコプターの離着陸性能と固定翼機の長距離飛行能力を兼ね備えた同機は、電動駆動のため排気ガスを出さず、大気観測データへの影響を抑えられることから、高山での科学調査に適している。

EV50は調査期間中に計32回離着陸し、そのうち12回は大気観測機器を搭載して飛行した。最高到達高度は標高8,861メートルに達し、中国国内で初めて超高高度対流圏における大気汚染物質の観測データを取得した。1回の飛行で最大3,730メートル上昇し、酸素濃度が低く強風が吹き荒れる環境でも安定した観測を実現した。

一方、南坡ではDJIが現地企業と連携し、輸送用ドローン「FC100」と測量用ドローン「M4E」を組み合わせた運用システムを構築。登山物資の輸送、ごみ回収、氷河測量、緊急支援などを一体的に実施した。

FC100はベースキャンプと第1キャンプ間の物資輸送を担当し、今シーズンだけで10トン以上の登山物資を運搬したほか、酸素ボンベ約2,300本を輸送し、約3,000キログラムの登山廃棄物を回収した。これまで登山ガイドが数時間かけて危険なクンブ氷河を横断していたルートも、ドローンなら片道約8分で飛行でき、雪崩や氷河のクレバスにさらされる危険を大幅に軽減した。

さらに、測量用ドローンM4Eは、クンブ氷河核心部で初めてセンチメートル級精度の3次元モデルを構築。ベースキャンプやアイスフォール、高所キャンプを含む3平方キロメートル以上を約3時間半で測量した。

この高精度3Dモデルにより、登山ルートを整備するガイドは事前にクレバスの位置を把握し、必要なはしごやロープを準備できるため、危険地帯での作業時間を大幅に短縮できるようになる。

今回の成果は、大気観測から登山支援、氷河測量まで、ドローンが超高標高環境で多様な任務を担えることを示したものであり、今後の高山科学調査や登山安全対策の高度化に向けた新たな可能性を切り開くものとして注目されている。

(中国経済新聞)