5月14日、北京人民大会堂で中国国家主席習近平は、訪中したアメリカのトランプ大統領と首脳会談を行った。両首脳は、米中関係の新たな位置づけとして「米中建設的戦略的安定関係」の構築に合意した。これは今後3年、さらにはそれ以降の両国関係に戦略的指針を与えるものであり、両国民および国際社会から歓迎されると習主席は強調した。

中国外交部報道官郭嘉昆も同日の記者会見で、「建設的戦略的安定」とは「協力主導の積極的安定」「競争を適度に保つ健全な安定」「分岐をコントロール可能な常態的安定」」「平和を期待できる持続的な安定」であると詳述した。この概念は単なるスローガンではなく、双方が「相向而行」(互いに歩み寄る)行動で実現すべきものだと位置づけられている。
この新たな位置づけの内涵を深く掘り下げると、4つの層が明確に浮かび上がる。
まず「協力主導の積極的安定」である。米中は世界最大の経済大国として、気候変動、AI、公共衛生などのグローバル課題で広範な共通利益を持つ。協力が関係の主軸となり、積極的に共同利益を拡大する姿勢を意味する。
次に「競争を適度に保つ健全な安定」。大国間の競争は現実だが、無制限なゼロサム対立ではなく、ルールに基づく「適度な」競争に留め、健全なバランスを保つことを目指す。第三に「分岐をコントロール可能な常態的安定」平和を期待できる持続的な安定。台湾問題、貿易摩擦、南シナ海など敏感な争点は避けられないが、対話とメカニズムで管理し、常態的な安定状態に留める。
最後に「和平可期の持続的安定」。長期的な視点で平和共存の展望を開き、持続可能な関係を築く。これら4点は、冷戦期の米ソ「戦略的安定」(核抑止による相互安定)を現代的に再解釈しつつ、「建設的」「戦略的」という言葉で積極性と長期性を加味した中国独自の枠組みと言える。
過去の米中関係史を振り返れば、この新定位は2013年に習主席がオバマ前大統領に提案した「新型大国関係」(不衝突・不対抗、相互尊重、合作共赢)の進化形である。当時は「修昔底德の罠」を避けるための概念だったが、トランプ第1期以降の貿易戦争、技術覇権争い、バイデン政権下の「戦略的競争者」位置づけで関係は緊張を極めた。2025年以降のトランプ第2期では、両国とも「全体的安定」を維持する戦略認知を共有しつつ、2026年の首脳会談で具体的な新定位に結実させた。中国側資料(求是網など)では、これを「時代への答え」と位置づけ、百年変局下で大国関係の新範式を創出する試みと位置づけている。
(中国経済新聞)
