花の祭典が消費を押し上げ 上海・黄浦区、「花見経済」で商業売上が大幅増

2026/05/14 11:30

中国・上海市黄浦区(ホアンプー区)で開催された花卉フェスティバルが、「花見経済」として大きな成果を上げ、注目を集めている。街を彩る花の景観が来訪者を呼び込み、商業施設の集客や売上増加につながった。

黄浦区緑化・市容管理局の顧芳副局長によると、同区は「市場連携+テクノロジー活用」を軸に、官民連携による市場化運営モデルを模索してきたという。

今回の花卉フェスティバルでは、英国の伝統あるChelsea Flower Showチェルシー・フラワーショーのベテランデザイナーを招き、景観設計を担当させた。同イベントは100年以上の歴史を持ち、企業スポンサーや民間投資、個人寄付など多様な資金調達を特徴とする世界的な花の祭典として知られる。

黄浦区はその運営手法を参考にしながら、中国独自の都市文化を融合。従来型の行政主導イベントから脱却し、「行政が場を整え、企業が主体となる」方式を採用した。

今回のフェスティバルでは、行政部門の垣根を越えて複数部門が連携。地域内の商業施設や店舗も深く関わり、庭園景観の設計やライトアップ、特設マーケットの運営、オリジナルグッズ開発などに参加した。企業側も「自らの利益につながる」という認識のもと積極的に参画し、官民連携の広がりと深さが際立った。

黄浦区によると、今回の花卉フェスティバルでは、行政投資に対する市場資金の誘発効果が「1対12.5」に達した。これは、花卉イベントの市場化運営モデルが一定の成果を上げ始めたことを示している。

また、海外の有料花展とは異なり、黄浦区は公共性を重視し、市民が無料で楽しめる形式を維持。自宅近くで質の高い花の景観を楽しめる点も人気を集めた。

さらに今回は、テクノロジーも積極的に導入された。過去には「植物の名前が分からない」という来場者の声が多かったことから、黄浦区はアリペイ(Alipay)と連携し、スマートチェックインシステムを導入。来場者はQRコードを読み取ることで植物情報やスポット紹介を閲覧でき、5カ所のチェックインを達成すると専用クーポン「花花券」を受け取れる仕組みを整えた。

このクーポンは周辺商業施設で利用可能で、「花見客」をそのまま「消費客」へと転換する導線づくりに成功した。こうした官民連携とテクノロジー活用の相乗効果により、主要商業エリアの売上も大幅に伸びた。新天地エリアでは売上高が前年同期比37%以上増加。豫園商圏では52%増を記録し、一部店舗では1日の売上が前年の2倍に達したという。

黄浦区は、花卉フェスティバルを起点に各商業エリアを有機的に結び付け、「観光客」を「消費者」へと転換することで、文化・観光消費の相乗効果をさらに高めたい考えだ。

(中国経済新聞)