ヒューマノイドロボット大手の優必選科技(UBTECH Robotics、ユービーセン)は4月2日、具身知能分野の首席科学者を世界から公募する採用情報を発表した。提示された年収は1500万元(約3億円)から最大1億2400万元(約26億円)に達し、中国のロボット分野における人材報酬の最高水準を更新するとともに、OpenAIやMetaといった世界的テック企業の水準に並ぶ内容となっている。
今回募集する首席科学者は、国籍・年齢・性別を問わず、同社の技術戦略を担う中核人材と位置付けられる。ヒューマノイドロボットおよび具身知能分野における技術ロードマップの策定をはじめ、視覚・言語・動作を統合したモデルやロボット基盤モデル、精密操作スキルの学習など最先端研究を主導し、技術の実用化と産業応用の加速が求められる。

同社はこのほかにも、強化学習アルゴリズムエンジニア、ハードウェアエンジニア、EtherCAT開発エンジニア、機械エンジニア、Rust開発者など複数の中核人材を同時募集し、技術人材の層を強化する方針だ。福利厚生としては社会保険完備に加え、有給病休、フレックスタイム、公営住宅の提供、カフェ設備などを用意し、研修制度や昇進ルートの整備も進める。
2012年創業の同社は、人工知能とヒューマノイドロボットの開発を主力とし、2023年12月に香港取引所に上場。「ヒューマノイドロボット第一号銘柄」とも称される。最新の発表によると、同社の特許取得件数は累計2985件(うち発明特許1742件、海外特許508件)に上り、ヒューマノイド関連特許数で世界首位とされる。
業績面でも成長が続いている。直近1年間の売上高は20億元(約420億円)と前年比53.3%増加。このうちヒューマノイドロボット事業の売上は8.2億元(約170億円)、販売台数は1079台で世界トップとなった。産業用途が全体の80%以上を占め、自動車、電子機器、半導体、航空分野などで導入が進む。手元資金は49.2億元(約1000億円)に達し、研究開発と人材確保の原資となっている。
同社が巨額報酬で人材確保に動く背景には、業界競争の激化がある。具身知能やヒューマノイドロボットは技術的な転換点にあり、基盤モデルや操作技術などで依然として課題が多い。トップレベルの科学者は技術方向の決定や開発効率の向上に直結し、その価値は報酬を上回るとされる。
実際、AI・ロボット分野の人材は世界的に不足しており、報酬水準は上昇を続けている。中国の人材サービスデータによれば、2026年初頭にはAI関連求人が前年同期比で大幅に増加し、平均月給は6万元(約120万円)超、トップクラスの研究者は年収1000万元(約2億円)を超えるケースも一般化している。
国際的にも、OpenAIやMetaなどの企業では、トップ研究者の年収が1億元(約20億円)規模に達する例もある。今回のユービーセンの提示条件は、こうした世界水準に並ぶものであり、中国のハードテック企業がグローバルな人材獲得競争に本格参入していることを示している。
(中国経済新聞)
