中国各地の預金動向をまとめた最新データから、地域ごとの資金規模や家計の豊かさの違いが一段と鮮明になった。中でも北京市と上海市は、一人当たりの預金額で突出しており、「超一線都市」に特有の富の集中が改めて浮き彫りとなっている。
中国人民銀行の各地支店の統計によると、2025年末時点の預金残高(人民元・外貨合計)は、広東省が約38.72兆元(約810兆円)で全国首位となり、2位の江蘇省を約10兆元上回った。経済規模で全国トップを維持する広東省の資金集積力の高さが示された形だ。
これに江蘇省(約27.9兆元=約586兆円)、北京市(約27.11兆元=約569兆円)、浙江省(約24.63兆元=約517兆円)、上海市(約24.5兆元=約515兆円)が続き、「20兆元規模」のグループを形成している。さらに山東省や四川省、河北省、河南省、湖北省が「10兆元規模」で続いている。
増加率では福建省と上海市がともに11%を超える高い伸びを記録した。特に上海市は約25兆元という大規模な預金残高を抱えながらも二桁成長を維持しており、外貨預金の増加が目立つなど、金融センターとしての特徴が表れている。
一方、家計の豊かさを示す指標である住民預金を見ると、広東省(約15.12兆元=約317兆円)が引き続き全国トップで、江蘇省、山東省、浙江省も10兆元を超えた。全国の住民預金残高は167兆元(約3,500兆円)で、前年から9.71%増加している。
ただし、預金構造には地域差が大きい。広東省や江蘇省、浙江省などでは住民預金の比率は全国平均並みであるのに対し、北京市や上海市では3割未満にとどまる。一方、東北地方や一部の中西部地域では7割前後と高く、貯蓄中心の資金構造が特徴となっている。
こうした違いについて専門家は、「北京や上海では所得が高い一方、住宅価格や消費水準も高く、さらに投資信託や株式など多様な資産運用が進んでいるため、預金の比率が低くなる」と指摘する。一方、東北地域では経済構造が比較的単一で、貯蓄志向が強いことが背景にあるとされる。
一人当たりの住民預金額では、北京市と上海市が他地域を大きく引き離した。北京市は約35.62万元(約750万円)、上海市は約29.02万元(約610万円)と、全国平均の約11.89万元(約250万円)を大きく上回る水準となっている。
これに浙江省(約17.77万元=約373万円)、遼寧省(約16.05万元=約337万円)、江蘇省(約15.6万元=約328万円)などが続き、「高貯蓄層」の第2グループを形成している。
また、2025年の増加額でも北京市と上海市はそれぞれ約2.47万元(約52万円)、約2.43万元(約51万円)増加し、引き続き全国トップとなった。大都市における富の蓄積がさらに進んでいることがうかがえる。
年初には大規模な定期預金の満期到来による資金流出が懸念されていたが、現時点では住民の貯蓄意欲に大きな変化は見られず、満期資金の約8~9割が引き続き銀行に預けられると見込まれている。
さらに、預金が中小銀行から大手銀行へ移動する傾向もみられる。金利差の縮小や融資環境の変化を背景に、中小銀行、特に農村商業銀行の預金獲得の動きが弱まりつつあることが要因とされる。
全体として、中国では地域ごとの経済構造や金融環境の違いが預金規模や資産配分に大きく影響しており、都市間の格差と金融行動の多様化が一段と進んでいる。
(中国経済新聞)
